・ ページ18
・
「俺な芸能一座におってんけど、同じとこにずっとおっても芸は磨かれん思うてな。ちょっと旅に出てきたんや」
「へえ、そうなんだ！」
西からずっと歩いてきたそうだ。
追加注文で団子を頼み、ジーッと見つめていたら私の分まで頼んでくれる優しい人。
「地元じゃ割と人気あってんで！」
「お、そうなの？」
「雉之助と言えば、ちぃったー名の知れた芸能者よ！」
「へえ、それ芸名？」
「せや！ 本名は康二言います。よろしくな！」
とても明るい人で、康二さんがいると場は直ぐに和む。
だからついつい話し込んでいたら、背後からパコンと軽くお盆で頭を叩かれた。
「なにサボってんだ。今日のお駄賃なしにするぞ？」
「ええ、それは困ります！」
「なんやあんた、女子叩くってあかんで！」
「は？」
「え？」
「おん？」
上から順に亮平さん、私、康二さん。
亮平さんは私を見て首を傾げているし、私は康二さんを見て口をあんぐりして、康二さんは私たちを交互に見て訝しげに眉を寄せる。
「は、女子って」
「いや普通気付くやろ？ パッと見なら男物着てはるし、可愛い童やなーって思うけどな。ここまで話してみぃや、声も仕草も女子やないかい」
「……すごい観察力」
「観察力もなんもないて。あんたすっごい別嬪さんやから」
ニコッと微笑んで、さらっと言われてると恥ずかしくなって頬をかく。
すると亮平さんは私の顔をまじまじと見て、「ん？」と私も彼の目を覗き込むと、途端に茹でダコのように顔を真っ赤にして仰け反った。
「あ、ああっ、俺としたことがっ」
「亮平さん？」
「も、もしかしてその瞳……あなた桃姫様なんじゃあ？」
「はっ？ 桃姫ぇぇっ？」
今度は康二さんまで仰け反って驚いている。
遠目では分からないらしいけど、私の瞳はよく見るとうっすらと桃色に光るらしい。
ほんとにうっすらなので、今みたいに覗きこまれた時にしか分からないと思うけど。
「あの、この事はどうかご内密に」
二人にどうして私が男装して一人旅をしているか説明をした。
すると康二さんは「めっちゃええ子やあ」と手拭いで涙を拭い、亮平さんは「そんな事情があったのか」と何かを考え込んでいる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1625人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます！一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (
レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 佐久間推しさん» コメントありがとうございます！一気に読んでもらえて光栄です。続きもそろそろ終盤ですのでどうぞ楽しんでください(^^) (2020年11月22日 23時) (レス) id: 0a7632b1c0 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間推し - お話が面白くて一気に読み進めてしまいました〜！！続きも楽しみです！ (2020年11月21日 8時) (レス) id: b5372a6ba4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» ありがとうございます！！お話書かれてるんですね！？よし見に行かねば！！ いえいえ彼への愛があれば素晴らしい作品のはずです！一緒に楽しんで書きましょうね(^^) (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - しーさん» 鬼佐久間さんに是非惚れてください（笑）食べられて良いなんて言っちゃったら、今夜辺りに来ますよ？（笑）まだドキドキシーンがあると思いますが楽しんでほしいです！ありがとうございました！ (2020年11月4日 9時) (レス) id: d7a99168d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年10月24日 1時
