鬼妻 ページ7
真っ黒な笑みを付けたままの零薇に、童磨はどんどん顔が青くなる。
零薇『オラ、来いよ。それでもテメェは鬼か?腰抜けだなぁ。人間如きに劣ったんじゃねぇよ』
童磨「い、いや。そうゆう訳ではなく」
手を前で振る童磨に、零薇は徐々に距離を詰めた。
零薇『そういやテメェには、信者がいんだってな?しかも人間の。もしその人様に手ェ出してみろ?私が一からテメェのその足りねぇ頭を分解して治してやるよ』←
サラッとさらに怖い発言をした零薇に、童磨が青を通り越して、白い顔をしていると……
鬼舞辻「零薇、帰ったのか」
零薇『ん?あら、無惨』
鬼のトップで零薇の尻に敷かれている無惨が、音も立てずに歩いてくる。
鬼舞辻「一体ここで何もしているんだ?」
妓夫太郎、堕姫、童磨、零薇と順番に見て、無惨は言った。
零薇『大したことじゃないよ?ただ童磨に、もしものことがあったらお前の頭を分解すんぞ、って言っただけだから』
にっこりと笑って言った零薇に、無惨は同情の目を童磨に向ける。
鬼舞辻「はぁ、零薇。何度も言っただろう。私達は鬼で、主食は人間なのだと。なのに、人間を喰わず、生活するのは難しい」
零薇『えぇ、そんなのはわかっているわ』
無惨の言葉をサラッと受け流して、零薇は言葉を紡ぐ。
零薇『だけど、どんな理由であれ、相手を傷つけ、苦しめる理由にはならない。私だって、貴方達が鬼で、人間を食べていかないといけないことくらい分かってる。でもね、それを楽しむような碌でなしになってほしくないのよ』
ふと昔を思い出すように、零薇は高い城の天井を見上げた。
零薇『私は、齢3歳にて、金を欲した両親に売られた。人間って言うのは、欲に正直な生き物だよ。誰を、何かを欲して生きることしか出来ない。哀れで醜いもの』
鬼舞辻に視線を向けるとすうっと目を細め、零薇は愛おしげに見る。
零薇『だけど、それは無惨や皆だって同じ。飢えに正直に行動している。欲するものは違えど、欲に正直なところは同じ。変わらないよ。人間も、鬼も、何もかも変わらない。だから、私は尚更、皆には酷い鬼にはなってほしくないんだよ。これが私の欲。良き者であってほしいという、私の欲だ』
くるっと四人に背を向け、零薇は歩き出す。
零薇『それをどう捉えるかは皆に任せるよ。私はただ、自分に正直に生きていくから』
小さくとも、その背には計り知れないほどの思いを持った少女の姿を、鬼達はそっと見守った。
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狂狐(プロフ) - 作者さーーん!このお話大好きです!更新待ってます!本当に大好きです! (2019年10月15日 8時) (レス) id: 8ba41bb7e5 (このIDを非表示/違反報告)
あやちゃん(プロフ) - 面白い!!というか零薇さん凄い(´゚д゚`) (2019年10月6日 20時) (レス) id: 7b0fae4b3b (このIDを非表示/違反報告)
ミイラ - とっっっても面白いです!これからも更新頑張ってください!! (2019年8月4日 3時) (レス) id: ebe81390c4 (このIDを非表示/違反報告)
純(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってください。 (2019年7月23日 7時) (レス) id: 9f70754803 (このIDを非表示/違反報告)
秋が生きやすい - 話数を入れる事は可能? (2019年7月17日 1時) (レス) id: 1a136e5fb0 (このIDを非表示/違反報告)
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