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『は、はるっ、』
「なんでAが泣いてるねんな〜。笑」
『だってだって、卓ちゃんが……』





よかったな〜と遥輝が頭をよしよししてくれるけど涙は止まらない。
もちろんタイムリーの瞬間も、仕事そっちのけでベンチの裏で泣いたけど。思い出したらまだまだ涙が溢れ出してくる。





「めっちゃブサイクなってるやん。笑」
『もう、ブサイクでもなんでもいいっ、』
「卓さんに嫌われんで。」
『いひゃや、!』




泣いてる私の顔をつまんで、憎まれ口を叩く遥輝もやっぱりどこか嬉しそうで、そんな表情にまた涙が溢れる。





「おい、遥輝。」
『!!!』





報道陣からインタビューでも受けていたのか、遥輝より少し遅れて戻ってきた卓ちゃん。ぺし、っと遥輝の手を叩いて私の腰に手を回す。





「はいはい邪魔者は消えますよ〜。」
「うんそうして。」





遥輝が出て行ったのを確認して、卓ちゃんの胸に飛び込めばしっかり受け止めてくれる。





『う〜…、』
「泣きすぎやろ。笑」
『だって、嬉しいんだもん、』
「うん、俺もうれしい。」
『卓ちゃん、すごくかっこよかった、』




私の髪に顔をうずめたまま、卓ちゃんが大きく息を吐いた。





『また明日だね、』
「ん、また頑張らんと。」

『ねえ卓ちゃん。』


少し胸を押して名前を呼べば、腕を緩めてくれて、目が合った。


「なん?」



『ちゅ、』
「!!!」




少し背伸びをしてキスをすれば、目を見開く卓ちゃん。
ふふ、私からするの初めてだもんね。




「あほ、かわいすぎるやろ。」




明日からもたくさんヒットが打てますようにと願いを込めて、もう一度キスをした。







(「まだ球場ってことわかってるんかな。」)
(「いや、忘れてんじゃねーの。」)
(「とりあえずムービー撮っとこ。」)







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作者名:oniononion | 作成日時:2017年6月16日 22時

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