G 49 ページ28
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「………。」
「顔、こわいよ。笑」
横でシゲが引いてるけど、それよりも目の前で繰り広げられる光景から目が離せない。
『絶対うそだ、笑』
「いや、これ本当だから。」
何の話かわからんけど、やたら盛り上がってるヤスと苗字ちゃん。
苗字ちゃんは球団の広報で、93年生まれの同い年。おまけに慶應ガール。だからかヤスとめちゃくちゃ仲良し。
「あの二人お似合いだな。」
「(ギロッ)」
「な、なんだよ、」
「宇佐見どんまい。笑」
そう。苗字ちゃんを好きな俺は、死ぬほど妬いているわけで。二人が付き合ってるんじゃないって知ってても、あんなに楽しそうな姿みるとなあ…
「俺も慶應ボーイやったらな〜。」
「また言ってんの？笑」
宮崎に来て毎日言うてるんちゃうかっていうこの言葉。シゲはもはや苦笑い。
『石川くん、そんなに慶應ボーイになりたいの？笑』
「うぁっ、！」
急に声をかけられて、情けない声が出た。かっこわる…。
「びびった、」
『人をおばけみたいに言わないでよ！笑』
さっきまでヤスに向けられていた笑顔が、今度は俺だけに向けられてて、それだけで死ぬほど嬉しくなる俺は、ほんま単純やと思う。
『どうしてそんなに慶應ボーイになりたいの？』
「えぇ？いや〜…、な、なんかええやん？」
『なにそれ。笑』
苗字ちゃんとの共通点が欲しいからなんか、言えるわけもなく、しどろもどろな俺。慶應ボーイにはほど遠い。
『まあ慶應ボーイがいいかはわかんないけど、…………？』
「え！！！」
ー私は柏高ボーイのほうが、かっこいいと思うよ？ー
俺にしか聞こえへんくらいの声で、通り過ぎるときにソッと囁かれた。
「不意打ちは、あかんやろ、」
(49「柏高ボーイがんばります！！！！」)
(43「慎吾すごい叫んでる。笑」)
(56「なに言ったの？」)
(『ナイショ〜！』)
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作者名：oniononion | 作成日時：2017年6月16日 22時
