F 9 ページ20
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『きゃーーー遥輝くんだ!』
「………、」
『ねえねえ卓ちゃん、遥輝くん映った!』
「………、」
卓ちゃん?って首をかしげるAは天然なのかわざとなのか。とりあえずさっきから遥輝遥輝とうるさい。
Aが遥輝のファンなのは知ってるけど、実際こうやって応援したりするところを見ないから、無性に腹がたつ。
「なあ、」
『どしたの???』
それに、最近あまりにも暑いから、
「俺と遥輝どっちがかっこいいと?」
こんな俺らしくないことが口からポロっとでた。Aは固まったまま動かない。
「あー…、いm『そんなの卓ちゃんに決まってるじゃん!!!』
なかったことにしようとした俺に、少し被せるように大声を出したA。あまりの勢いに今度は俺が固まる番で、
『世界中で卓ちゃん以上にかっこいい人なんていないよ!』
『オールスターだって、卓ちゃんが出てるとこ見たいもん!』
ユニホームの着方がかっこいいだの、腕の血管がかっこいいだの、聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなことを大声で叫ぶから、慌てて引き寄せて手で口をふさぐ。
「もう、よか……!」
『ぷはっ、あ、卓ちゃん照れたでしょ?』
ひひ、と悪戯っぽく笑ったAの口を、今度は唇でふさぐ。
「来年は出るけん、そん時は見にきてな。」
『やくそ【行ったーーーー!西川遥輝のホームランです!!】
『きゃーーーーーー遥輝くんホームラン!ねえ卓ちゃん!遥輝くんホームラン打ったよ!!!』
………遥輝、後半戦はじまったらおぼえとけよ?
(「へっくしょん、」)
(「なに風邪?」)
(「誰か噂してるんちゃいますか?笑」)
(「(遥輝許さん)」)
(へっっっくしょん!!!)
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作者名:oniononion | 作成日時:2017年6月16日 22時