F 9 ページ15
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「え、?」
日本一を決めてから、メディア出演やらで忙しかった卓と久しぶりのデート。
車の助手席に乗り込んだ私を見て、驚きが隠せない様子。おもしろい。笑
『なに?』
「いや、なにって……。どしたん、髪。」
『どうしたって…切っただけだよ?』
みぞおち辺りまで伸ばしていた髪を肩上までバッサリ。
驚くだろうなあとは思ってたけど、予想以上の驚きぶり。
「なんかあったん?」
『なんで〜!髪切っただけだよ?』
「髪切っただけって、そんな一気に?」
『だって、好きなんでしょ?』
まったくわかってない様子の卓。頭の上にハテナがたくさん見えてる。
「俺、ショート好きって言ったことあった?」
『ちがうよ!ショートじゃなくて!』
ますますハテナを浮かべる卓。
なんで気づかないかな………。
いざ口に出すとなると、すっごく恥ずかしい。言えない。
でも話の意図が読めなくて、卓が少しイラっとしたのがわかったから、
『だから!ガッキー!逃げ恥!』
「……………は?」
卓がテレビでガッキーが可愛いって言うから、意を決して伸ばしていた髪を切ったのに。ガッキーになれるとは思ってないけど、卓に可愛いって思ってほしかったのに。
卓のバカ。ゴリラ。
「ふっ、」
『なに………。』
「俺がガッキー好き言うから、髪切ったと?」
『ち、ちがうもん。』
気づいてほしいと思ってたのに、いざ言われると可愛くない返事をしてしまう天邪鬼な私。
するといきなり卓の手が伸びてきて私の髪をくしゃっと撫でた。
「短いのも似合ってるけど、」
「俺が好きなんはガッキーやなくて、Aやけん。知らんかったと?」
こんな甘い言葉、卓から聞いたのなんて初めてで、理解するのに少し時間がかかった。
『卓、』
「ん?」
『だいすき。』
(『あれ?ご飯は?』)
(「行き先変更。俺の家いく。」)
(『は?え?ちょ、』)
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作者名:oniononion | 作成日時:2017年6月16日 22時