24.悪目立ち ページ24
「A、おそば食べに行かない?」
昼時、オトギリの誘いで現在値下げセール中のそば屋へ外食に出掛けることにしたA達。
傍らでそれを聞いていた椿は、その様子に微笑ましそうに口元を緩めながら二人に言った。
「オトギリとAは女同士すっかり仲良くなったねぇ」
『ふふふ、友達だもの』
「あはっ! たまには僕も混ぜてよ」
久しぶりにそば食べたいな、と続ける椿だったがそれを聞いたオトギリが僅かに眉根を寄せて難色を示す。
「困ります」
「あっは! 即答!? 酷いなオトギリ! 反抗期!? あははっあはははは! ははははは! ――ああ面白くない……」
『オ、オトギリ… 椿が落ち込んでるわよ…?』
「椿さんが一緒だと悪目立ちするんだもの……困ります……」
それを言うならオトギリとAも外見からして目立つのは同じなのだが……つまり彼女は、貴重な女同士の時間を邪魔されたくないのだろう。
シャムロックやべルキアが椿を慰める声を背に「行きましょう」と手を引いてくるオトギリに連れられて、Aは街へ繰り出した。
『あ、桜哉くん』
昼食後、軽い運動も兼ねて周辺を散歩したり適当な店を物色したりして過ごしていると、夕方頃になって学校帰りと思われる桜哉と鉢合わせた。
いつもと違って中学の制服であろう真っ黒な学ランを着ている彼に、Aは思い立ったように桜哉を指差してオトギリに言う。
『これがコスプレ?』
「コスプレね……」
「アンタらには言われたくねぇよ…!」
適齢期を過ぎた者が学ランを着用するのがコスプレであることは認めるが、それを日頃からナース服を着たり和服で角を生やしていたりする二人に指摘されるのは心外だった。
一緒に帰りましょうというAの提案により、三人で拠点のホテルへ戻ることになったその道中。
大通りを外れた狭い路地で、妙な集団に行く手を遮られた。
「……なんだアンタら、何か用?」
「お前にはねぇよ……用があんのはそっちのツノ女」
『私?』
不思議そうに首を傾げるAへ、先頭に立つ男は刺すような鋭い視線を向けながら話を続ける。
「噂でな、聞いたんだ……白髪に赤い目、デコにツノ生やした奴が吸血鬼を大量虐殺して歩いてるってさ……てめぇのことだよなあ?」
「「!?」」
あまりにも突拍子のない話に、桜哉達は思わず目を見開いた。
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作者名:きー | 作成日時:2017年5月8日 3時