21.奇々怪々 ページ21
「この見た目で1000歳とか完全にサギだよねェ〜☆」
「吸血鬼も似たようなものだがな」
「あはっ！ まあAの場合は封印で一時的に止まってたんだろうけど」
言いながら、椿はどこか頭の片隅でその意味を改めて咀嚼した。
(ああ、そうか……この子は――)
Aは吸血鬼の皆と違って、いつかは死んでいなくなるのだという事を。
彼女がいるこの生活は、あと100年もしないうちに終わりを迎えてしまうであろう事実を。
『私の見た目は元からこれで止まってるわよ？』
「「「え」」」
『私の一族はみんな全盛期で体の成長が止まるの』
「「「……」」」
ナニソレ。
「あはっ！ あははは！ あははははははっはははははは！」
にっこり笑ってとんでもない事を暴露したAに、べルキア達が絶句する一方で椿は狂ったように笑い出した。
ひとりで感傷的になりかけた自分が滑稽だったのと、それが杞憂に過ぎなかったことに安堵を覚えて――
程なくいつも通り「面白くない」と一蹴したのは言うまでもないけれど。
＊＊＊
《――――ビャクカガチ》
《1000年以上前、まだ日本人類が科学の�爐��瓩了�も知らない頃。まじないや妖怪や神仏の存在が信じられ、息づいていた時代……いわゆる鬼が実在した》
《体色は雪のように白く、鬼灯の灯火が如き朱の瞳を持つ角の一族》
《別名��
《その曰くを一々取り上げていてはキリがない上に、現状では事実確認もままならないンでここでは割愛するが……端的に言ってあれはマジで厄介だぞ》
《何せ当時の朝廷が差し向けた討伐隊との戦いで、棲んでた山ひとつ消し潰してみせたって話だ……嘘か本当かは知らねーけど》
《一応それが切っ掛けで死滅したことになってたんだがな……いたんだねぇ生き残り？》
《８番目がいかにしてあれを呼び寄せたのか知る由もねぇが、今後ンなもん連れて暴れられたんじゃ堪らねーっての》
《何かしら手を打たにゃならんにしてもよ……さっきも言った通り、マジでヤバいから》
《お前ら何するにも慎重にな？ 当分は様子見くらいの気持ちで、くれぐれも雑な真似すんなよ？ ヘタ踏むと死んじゃうからね？》
《――うん、じゃあ爺ちゃんの教育的指導これで終わり！ かいさーんっ！》
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作者名：きー | 作成日時：2017年5月8日 3時
