【SERVAMP】鬼の白絹【憂鬱】 (ページ19)

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19.打ち明け話ページ19

「じゃあAちゃんは、椿とはどうやって会ったのかな？」

笛は自分では動けないだろう？

折角なのでこの機会にAの身の上話を少し突っ込んで訊いてみようと思い、ヒガンは会話の流れでそんな疑問を彼女に振った。

『すぐ近くの神社よ。今はもう寂れちゃって人っ子ひとりいないけど……私の笛はそこのご神体にされていたの』

たいぶ前から神社は廃れてその機能を失い、奥の本殿から動けないAは食事も出来ずそこで力尽きようとしていた。

『そこに椿達が来たの』

笛は破壊され、封印が解けて、Aは1000年ぶりにようやく外の世界へ出られた。

明らかに普通の人間とは違う容貌のAに、椿は笑って手を差し伸べて居場所をくれた。

嬉しかった。

訝しみながらも声をかけてきてくれたことが。
こちらの目を見て、言葉に耳を傾けてくれたことが。
おいでよと言ってくれたことが。

思わず気が抜けて泣き出してしまうくらい、嬉しかった。

繋いだ手は温かくて、見慣れない夜の街もちっとも怖いと思わなかった。

この人がいれば、何処でも何でも大丈夫な気がした。

どうして椿は見ず知らずの女にここまでしてくれたのか。

それは1000年後を生きていたり、吸血鬼だったりする彼にとっては、何でもないことなのかもしれない。

この時代や椿についてまだ何も知らないAには、答えなんて見つけようもないけれど。

『いま考えてみても、やっぱり私すごく運が良かったのねぇ……』

あの時あそこで会ったのが椿で良かった。

そう言って穏やかに笑うAは、やはり子供のようでいてどこか大人びて見えた。

『ひがんさんは？どうやって椿と会ったの？』

「うん？オジサンかい？オジサンもまあ、Aちゃんと同じだよ……死にかけたところを椿にサブクラスにしてもらって拾われた」

今度はAの方から投げかけられた同様の質問にヒガンが答えると、それに彼女はまた不思議そうに首を傾げる。

『？吸血鬼は死なないんじゃないの…？』

「ん？ああ… オジサンは元は人間なんだよ。というかサブクラスはみんな元は人間で、真祖に吸血鬼にしてもらったんだ」

『……？』

余計わからなくなったのか益々困惑の表情を浮かべるAに、ヒガンはいつもの苦笑を零しながら説明する。

そのうち、やって来たべルキア達も加わって、気付けばいつの間にやらAの勉強会が始まっていた。