検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:54,904 hit

・・ ページ18

ーー腫瘍新生血管は透過性が高くリンパ回収系が未熟であるためーー……



講義室内にマイクで拡散された教授の淡々とした話が散らばっていく。


壁に反射し机に反射し、空気中の酸素に反射し拡散され屈折。


ぼんやりと開っぱなしの耳へ入り込みぐるぐると回ってそれらの波長は何処へ向かうのか。



ーーところでDNAというのは半保存的複製をーー……



瞼が重い。


肩も体もだるくて仕方がない。


朝から私は何をこんなに疲れているのだろう。


1体の式神に力を吹き込んだだけで情けない。



ーークエン酸回路で生成した還元型補酵素はATP合成のためのーー……



うるさい。



ーーアセチルコリンはシナプス間の情報伝達を行い、情報伝達物質のーー……



頭痛が酷い。


ぐわんぐわんと世界が共鳴し、共鳴からの不協和音といったように視界を安定させない。


教授の声が遠くなる。


視線が定まらずブレる。


気持ちが悪い。


吐き気がする。


並行感覚が分からない。


このままでは、意識を保っていられない。


一体何が。


この現象が引き起こされた根源はどこにある。



「大丈夫だ」



ああ、ジェボムだ。


いつの間に傍に居たのだろう。


背中を摩ってくれる。


既に机に突っ伏してしまっている自分。


目をつむっても世界が歪み重力がなくなってしまったような感覚だ。


自分でも状況がよくわからない。



「ゆっくり、目を開けろ」



言われたとおりゆっくり目を開ける。


視界はぐるぐると回って横に縦に歪んでいる。



「意識をこちら側につなぎ止めろ」



なに。



「引き寄せられるな」



どういうこと。



「俺を見ろ。此処がお前の世界だ」



パッと視界がクリアになった。


今まで歪み、気持ち悪い感覚だったのがさっぱり消えたのだ。


目の前には机の上に胡座をかいたジェボムの姿。


彼は満足そうに微笑むのだった。



ーー遺伝子レベルで抑制した野菜はーー……



私は未だに、状況が理解できなかった。


講義室には相変わらず教授の淡々とした声が満ちていた。

鬼の伝承→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
157人がお気に入り
設定タグ:K-POP , GOT7 , JB
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かん(プロフ) - 投稿されるの楽しみに待ってます\^^/ (2015年11月23日 11時) (レス) id: 77ee2827c2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:山田 | 作成日時:2015年10月6日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。