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一日の講義を終えて、学校の敷地内にある図書館へと向かった。


図書館は敷地内に二棟ある。


一つは比較的新しい建物で綺麗な新図書館。


もう一つは外れの方にある老朽化の進んだ旧図書館。


ザクザクと雪を踏みしめ肩や頭に降り積もらせながら旧図書館へと足を向けた。



旧図書館は壁にヒビが入り始めていて、来年あたりには取り壊されるのではないかとも言われいる。


確かにいつ倒れるかもしれないこの棟はもうそろそろ寿命なのだと思う。


二階へ上がる階段。


窓から曇りの日特有のぼんやりとした光が差し込む。


あまり人気はない。


静かなもので、古い紙の匂いが鼻についた。




二階奥、古い文献が並ぶそのエリアを前に足を止める。なんとも……。



「この辺なのは間違いないんだけど」



本棚に手をかざしてみる。


皮膚を刺すぴりぴりとした刺激は明らかに人とは異なる「力」の存在を示している。


が、私の力がどうにも弱いようでどこに原因があるのか突き止められない。


困った。



この異変に気付いたのは三日前。


借りていた本を冬休暇中も開いている旧図書館に返しに来た時。


変な力の放出を感じられたは良いが、私の力では何も出来ない。


小さい物くらいなら浄化できる。


でもこれは少々禍々しい気配。


私は祖父に相談し、力を込めて貰ったお札を持って来ていた。


しかし対象が見つからないとどうにもできない。



ひとつ、ため息を吐いて適当に本を取った。


その本は異様に古く、恐らく江戸くらいの物。


ぺらっと開いた瞬間、ピリピリとしていた刺激がそんなものでは収まらなくなった。


私は咄嗟に本を投げ捨て、ポケットからお札を取り出す。



ヤバイヤバイヤバイ。



鼓動が忙しなく、呼吸が乱れる。


開いた状態で床に転がるその本からは禍々しい気配と力が溢れだしていた。




――早く、お札貼らないと。




と、お札を構えた瞬間その禍々しい気配はなりを潜めてしまった。



「あ、あれ?」



本に恐る恐る近付くもピリピリも何も感じない。


どうした事だろう。


まさか取り逃がしてしまった?


これは大事だ。


祖父に絞られる。


あんな禍々しい妖気の持ち主を易々解放してしまったと知れた日にはどれだけ扱かれるか。


考えただけでゾッとする。


しかし、もうこの付近に気配は無い。


諦めるしかないだろう。


とりあえず証拠となる本を拾い、旧図書館を出た。


家に帰る足取りが重い。


泣きそうだった。

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かん(プロフ) - 投稿されるの楽しみに待ってます\^^/ (2015年11月23日 11時) (レス) id: 77ee2827c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山田 | 作成日時:2015年10月6日 2時

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