記憶を失った鬼姫

prologue ページ1

飛び散る鮮血…



フワリと宙に舞い、勢いよく私の身体は叩きつけられる



全身が痛い





私……何でこんなことになったんだっけ？



朦朧とする意識の中、懸命に記憶をたどる




何も…わからない




まあいいや、今、私はすごく眠いんだ






そんな中、最後に見えたのは赤い服に身を包む


綺麗な金髪の


まだ少年のあどけなさが残る彼だった



走馬灯ってやつかな？




私は死ぬのね…



不思議と怖くなかった







だって、人間は勿論



私達妖怪だって生きとし生けるものは皆、



生死という名の輪廻転生を繰り返すのだから









A「エ…、ンマ……。」







苦しい……


荒い呼吸でやっとの思いで口にした名前




見える雲一つ無い澄み渡ったお昼の空


そこに届くはずのない手を伸ばし、涙を流す








せめて最期に貴方の笑顔が見たかった



愛おしい彼の姿が脳裏に蘇って、私の意識はそこで途絶えた

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