305号室のユンギくん。

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『ヌナぁ、腹減った…』

「待って！もうちょっとだから！」




キッチンでラーメンを作るわたしの背後から
覗き込むようにしてくるユンギくん。
距離感が…近い近い……





「…っ…ゆんちゃん、いい子にしてて？」

『なっ！ゆんちゃんってなんだよ…』

「ゆんちゃんはゆんちゃん！
　ほら、しゃべってないで準備手伝って！
　そこからお茶碗出して、お箸も出して？
　あっ！鍋敷き！これも敷いてて！」





なだめるように言えば、
渋々、テーブルにセッティングしてくれる。
聞き分けのいい子どもみたい。
出来たラーメンを鍋ごとテーブルに置く。





「はい、お待たせ！食べよ！」

『ん、いただきます。』

「いただきまーす！召し上がれー！」





インスタントラーメンでよかった。
味の失敗のしようがないから。
お互い汗だくになりながら、麺を啜る。
外から入ってくる風が当たって、
暑いけど、涼しい。





『うま…』

「ん？よかった！
　って、インスタントは味決まってるから楽だね！」

『ヌナが作ってくれるのは全部うまい…』

「そう？嬉しい！
　それにしても…辛い〜！！」

『ぶはっ！ヌナ汗だくじゃん！』

「ユンギくんもだよ！あ〜辛い…」

『もしかして辛いの苦手だった？』

「ん？あんまり好んでは食べないかなぁ。」

『え、なんかわりぃな…』

「なんで？
　ユンギくんが食べたかったからいいじゃん？
　それに、たまに食べるからおいしいんだよ〜！」

『そんなもんか？』

「そんなもんそんなもん！
　ほら、まだあるから食べて〜！」
　




ちょっと作りすぎたかな？って思ってたけど、
ユンギくんはお腹空いてたのか、
あっという間になくなってしまった。





『はー…腹いっぱい…ごちそうさん…』

「ふふっ、いっぱい食べたね。」

『なんかさぁ、
　ヌナのメシ食べ出してから太ったんだけど？』

「えぇ！？わたしのせい？」

『ヌナのメシがうますぎるんだよ。』

「え〜…食べすぎるユンギくんが…
『なにぃ？』




ぶにっと頬をつままれて、身動きが取れなくなった。




「はんへもはい…(なんでもない…)」

『ぶはっ！変な顔！』

「ひほひー!(ひどいー!)」




めっちゃ遊ばれてる…。
でも不思議と嫌じゃなくて。
楽しそうなユンギくんを見るだけで、
こっちまで楽しくなる。





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