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『コーヒー、持ってきてくれない？』
お湯を注いでいたから、話半分で聞いていた。
いいよ、と言ったものの、
冷静に考えれば、仕事部屋を覗いてしまうわけで。
わたしにとって、ｊはすごい存在で、
そのｊの仕事部屋を見てしまうなんて、
死んでしまうんじゃないかと思うくらい、
緊張することだった。
ドアを開けて、扉の方まで来てもらって
手渡しすればいいか、うん、そうしよう。
コーヒーを入れたマグカップを置いたトレイを
片手に持ち、コンコン、とノックした。
「グクくん、コーヒー持ってきたよ。」
『いま手離せないから持ってきてくれる？』
「え！？あの…その…」
『え？なに？』
「えっと…」
『コーヒー飲みたい。』
ええい！悩むな、わたし！
薄目で見ないようにして
ささっと出れば大丈夫だ！
意を決して、ドアノブに手を掛けて扉を開けた。
部屋には洋楽が流れている。
「お、おまたせ…。
これ…置いとくね。」
『ありがとう。』
「じゃ、…」
『待って、』
目も合わせず、下を向いているわたしの手首を、
グクくんはパシッと掴んだ。
『なんかあった？』
「へ？」
『や…下向いてるから…
俺が一緒にコーヒー飲まなかったから？』
「え、違う違う！」
パッと顔を上げれば、
椅子に座ったグクくんが心配そうにしていた。
『ごめんな、向こうで飲まなくて。
思いついたやつ、書き留めておきたくてさ…』
「そ、そうじゃないの！あの…」
『ん？どした？』
「き、緊張しちゃって…」
『…は？』
「だっ…て、あの、
ｊが仕事してるんだって思うと……見れない！
だから見ないようにコーヒー置いて
出ようと…思った…の…」
『ぷはっ！そんなことか！』
「そんなことじゃない！
心臓飛び出るくらいだよ！」
『大袈裟(笑)
…部屋見なくていいからさ……』
手首を掴まれた状態から
するっと手を恋人繋ぎにされた。
『……俺を見てよ。』
グクくんの熱っぽい視線。
絡めた指先が、火照る。
ｊの仕事部屋にいるなんて、もう頭から抜けた。
視界には、グクくんしかいない。
「え…と…
あっ、コーヒー冷めちゃうから！
飲んで！ね！じゃ、作業がんばってね！」
繋がれた手を離してパタパタと部屋を出た。
廊下の壁にもたれて、ずるずると座ってしまった。
不自然すぎたよね…。
あのまま、手を解かなかったら
どうなってたんだろう。
解いた指は、グクくんの感触が残っていた。
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oniku(プロフ) - かのんさん» かのんさん、はじめまして！コメントありがとうございます(o^^o)癒されると言って頂けて嬉しいです(*´-`)まだまだ続く予定なのでよければお付き合いくださいねー★ (2021年8月31日 6時) (
レス) id: 84890a7b9a (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - お話読んでて、二人の日常が可愛くて楽しそうでとても癒されます。 (2021年8月30日 23時) (レス) id: 81bb9ddb3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おにく
| 作成日時：2021年8月26日 19時
