30 -JK side- ページ30
—JK side
彼女は人見知りなのか、
仕事中とはまるで違う人だった。
最初はあまりの違いように少し驚いたけど、
本当の彼女を知れて嬉しくなった。
そして、会話中、たまに見せてくれる笑顔に
心惹かれた。
どしゃ降りだった雨は、上がっていた。
あぁ、この、雨が降った後に、
地面から上がってくる匂い…
好きだなぁって思ってると、
「この匂い…」
と彼女が呟いた。
『ペトリコールっていうんだよ。』
と教えてあげた。
ペトリコール…ペトリコール…と
何度も繰り返し呟いた彼女は、ポツリと
「好きだな…」
と言った。
『俺も好き。』
俺はそう言って、
手を少し強く、きゅっと繋ぎ直した。
まるで、自分が彼女を好きだというみたいに。
『コンビニ寄る？』
と聞いたものの、よくよく考えれば、
よくもまぁ家に誘えたよな、と
今更ながら緊張してきて。
歳を聞かれたり聞き返したり、
会話には困らなかった。
コンビニで買い物をして家に帰り、
2人で乾杯した。
彼女が思い出したかのように
「日本語、上手だね」
と言ってきた。
何故わかったのか聞くと、
免許証の名前が目に入ったらしかった。
別に隠すつもりもなかったけど、韓国人と言うと、
嫌な顔をする人もいままでにいたから
あまり言いたくなかった。
日本語のイントネーションも
日本人のように自然に、
スムーズに発音できるように努力したから、
気がつかれなくて嬉しかった。
彼女は俺が話したがらないのを気遣ってか、
それ以上聞いてこなかったから楽だった。
"あなた"や"キミ"と呼ばれていたのに、
"グクくん"と呼ばれてニヤケが止まらなかった。
ずっと聞きたかった彼女の名前も知れた。
"A"って言うらしい。
可愛い名前。
『Aちゃん』
って呼ぶと、一瞬ひるんだのがわかった。
その後、チューハイを煽るようにして飲んでたから
可愛かった。
さっき泣いていた理由を聞きたいけれど、
聞いてもいいのか。
でも、彼女の口から言いたくなるまで
待とうと思った。
けれど、ふと思い出したのか、
目に涙をいっぱいに溜めて、泣くのを我慢していた。
『泣いていいよ。』
そう声を掛けると、
声を押し殺して、肩を震わせながら泣き始めた。
俺は、ただ、
背中をさすってあげることしかできなかった。
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oniku(プロフ) - かのんさん» かのんさん、はじめまして！コメントありがとうございます(o^^o)癒されると言って頂けて嬉しいです(*´-`)まだまだ続く予定なのでよければお付き合いくださいねー★ (2021年8月31日 6時) (
レス) id: 84890a7b9a (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - お話読んでて、二人の日常が可愛くて楽しそうでとても癒されます。 (2021年8月30日 23時) (レス) id: 81bb9ddb3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おにく
| 作成日時：2021年8月26日 19時
