305号室のユンギくん。3

49 -YG side- ~fin~ ページ49

—YG side




あの日、レンタルビデオ店で出会っていなかったら
こんな風にいま、一緒にいないだろうな。
ただの"お隣さん"だったかもしれない。




『明日、大家のばぁちゃんに言いに行くぞ』

「うん。大家さん、びっくりしちゃうかな？」

『なんで？』

「わたし達が付き合ってるって知ったら。」

『あーもう知ってるよ』

「えっ！なんで？！」

『この前会ったときにな』

「えー！聞いてない！！」

『まぁ、お前に言ってないからな』

「なんでー？！もー…ユンギひどい……」

『まーたそうやって拗ねる…
　ほら、こっちこい、また落ちるぞ』

「落ちないもん…」

『…ばぁちゃん言ってたよ、お似合いねって』

「ほんと？」

『うん、だからこっちこい』




腰を引き寄せて、ヌナを俺の胸に収める。
視線に気づいて額にキスをすると
幸せそうに微笑むヌナ。




『もう"お隣さん"じゃなくなるんだな』

「だね。わたしさ、嬉しいんだ。
　ただの"お隣さん"じゃなくなるの。
　ちょっと寂しいけどね、ずっと住んでた部屋だし。
　でもユンギとずっと一緒にいられるから嬉しい。
　ありがと、一緒に住もって言ってくれて。」

『ん。』

「へへ……」

『ヌナってさぁ、』

「なぁに？」

『ヌナじゃないよな』

「んー？どういう意味？」

『俺より年上なのに全然年上っぽくねぇの。
　出会ったときはまぁ、年上かなって思ってたけど
　付き合ってから全然違うんだよな』

「え……」

『あぁ、ごめん、悪い意味じゃなくて。
　こんなに甘えてくるやつだと思わなかった』

「……いや？」

『嫌だったら一緒にいねぇよ』

「よかった…うざかったら言ってね？」
　
『んーわかった』

「え！うざくなる日が来るってこと？！」

『どうだろな？
　……まぁこれから長い付き合いになるからな』

「え、それは
『おやすみ。』





ヌナが眠りについた後、
小さな箱から取り出した、
控えめに煌めくリングをヌナの薬指につける。

起きたらどんな反応すんだろうな。
ヌナのことだから泣いて喜ぶかな。
あぁ、でも「嬉しい！」って笑って終わりかもな。
それでもいいや、Aの笑顔が見れるなら。
俺から一緒に住まないかって言った意味と、
薬指のリングの意味、わかってくれんのかな。
それくらい、先のことはちゃんと考えてる。


『A、愛してる』


静かに寝息を立てるAにキスをして
眠りにつける幸せ。



月曜からは2人で帰ろうな。


この305号室に。







fin.

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