305号室のユンギくん。3

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—YG side





ヌナが作ってくれたポテトサラダは
いつもと変わらずうまくて、
しみじみとその味を味わった。

「明日休みだから」
って、いつものように酒を煽るヌナに
俺も付き合った。




「ユンギくん……あのね、」

『ん？どした？』




"ユンギくん"って呼んでくるってことは
まだ完全に酔ってないんだろう。
言葉を探すかのように何か考えている。




「あのね……あの………」



沈黙に耐えきれず、俺から話しかけた。



『ヌナ、』

「ん…？」



酒のせいだろうか、
頬が赤くなって目がとろんとしているその様子さえ、
愛おしい。



『この前…ごめんな、勝手に怒って。』



なにもかも酒のせいにして、
素直に気持ちを伝えることにした。
シラフのときじゃ、恥ずくてなにも言えないから。



『俺さ、ヌナのこと好きだけど…
　ヌナとどうこうなろうとか思ってないんだ。
　ただ、今までみたいにメシ食ったりできれば
　それでいいからさ…だから……』



伝えたいことはいっぱいあるのに、
うまく言葉にできない。




「わたしもごめんね…
　待っててって言われたのに…
　勝手にいなくなってごめんなさい…」

『ヌナは悪くない。
　俺が勝手に怒っただけだから…』

「……ちょっとね、」

『ん？』

「ちょっと…
　悲しかったよ…寂しかったし……」

『ん、ごめんな…』




無意識でヌナを引き寄せて腕の中に収めた。
久しぶりのヌナの温もり。
ベッドの中で抱きしめることはあっても、
こうやってソファに座って抱きしめるのは
初めてだった。



「…ユンギくんの匂いだ……」



ヌナは大きく深呼吸して、俺の匂いを嗅いでいる。



『そんなに好きなの？』

「……すき。
　ずっとね、…こうしたかった……」

『……俺も。』



さっきよりも、少し強く抱きしめた。




「ごめんね……」

『なんで謝んの』

「わたし……ずるいなって……
　ユンギくんの気持ち知ってて
　こうやって抱きしめてもらってて…」
　
『俺がしたいんだからいいんだよ。
　黙って俺の中にいりゃいいの。』

「ん……」






『ヌナとどうこうなろうと思ってない』
なんて、本当は思ってない。
ヌナを俺だけのものにしたい。
でも、このままでいいって言ったのは本当で。
変だよな…
そばにいれるなら
キスだって、それ以上のことだって、
全部我慢するからさ。
ヌナが望むなら、このままがいいって言うなら
付き合わなくてもいいんだよ。




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