305号室のユンギくん。3

19 ページ19

.





目が覚めて、いつもと違う天井に驚く。
そっか、…昨日帰れなくてホテルに泊まったんだ。

いつのまにか寝てしまってたみたい。
ジンくんがわたしの横で小さく丸まって
規則正しい寝息を立てて寝てる。


勢いで
「1ヶ月付き合う」
って言ってしまった。
断るつもりだったのに、なんなんだよね…
でも1ヶ月、ちゃんとジンくんに向き合ってみよう。
いまはユンギくんが心のどこかにいても、
ジンくんといることで変わってくるかもしれないし。

ユンギくんとせっかく元に戻れたけど…
昨日の電話でまた気まずくなっちゃったしな…
何も言わないでおこう。
その方が、怒らせたりしないだろうし、
怒られなくて済むから…





【ん〜……】

「ジンくん、起きた…？」

【A……おはよ……】

「ん、おはよ。」

【わー…Aだ……】

「なぁに、わーって…」

【うれしいんだよ〜、
　朝から素のAが見れて〜…】

「もーなに言っ
【A、】




くるっと身体を回して
わたしに覆い被さってきた。




「ちょっ…と……な、なに…？」

【A、好きだよ。
　1ヶ月、よろしくね。】

「ん、」

【1ヶ月と言わず、
　ずっと付き合ってくれてもいいんだけど？】

「えっ！…や……その………」

【うそうそ！まぁ、うそじゃないけど。
　A？1ヶ月、僕だけを見てて。
　今は僕以外の人を好きなのかもしれないし、
　僕のことは何も思ってないかもしれないけど、
　僕をまた好きになって欲しい。
　1ヶ月後、答え聞かせて？いい？】

「うん……」

【ありがとう。
　ねぇ、今日さ、デートしようよ。】

「デート…？」

【もう付き合ってるんだから、ね？】

「うん……あ、でも、」

【なに？断らせないよ？】

「いやそうじゃなくて、車…」

【あー！そうだった！JAF電話しなきゃ！】





チェックアウトの時間が迫る中、
ジンくんは電話して自分の支度もしたり
テキパキと動いていた。
仕事以外でもこんなにテキパキ動くんだ、
なんて感心すると同時に、ユンギくんだったら
ずっとソファでスマホいじってるな、
なんて思って少し笑えた。


…って、
なんでユンギくんのこと考えてるんだろ…
関係ないじゃん、
1ヶ月でもジンくんと付き合うんだから
ちゃんとジンくんのことだけ考えなきゃ…




.

20 -YG side-→←18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す