305号室のユンギくん。3

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ジンくんがフロントで手続きしている間、
ユンギくんに泊まることになったことを話した。
『迎えに行く』
って言ってくれたときはすごく嬉しかったけど、
さすがにこの雨の中来てほしいなんて言えない。





「お待たせ！
　ごめんね、ちょっと話し込んじゃって…
　…って、どうしたの、そんな顔して…」

【…A、僕、他を探すから。】

「え、なに？なんで？」

【手違いで一部屋しか空いてないって…】

「は…？」




しかも空いているのはシングルルーム。
今日は本当にツイてない…。
ひとまずその部屋は押さえてもらって、
ジンくんと2人、ロビーのソファに座って
どうするか話し合った。




【Aはこのままここに泊まって。
　僕はこの近くのホテルに片っ端から
　電話してみるから。部屋、行きな？】

「いやいや、だめだよ！わたしも探す！」

【……ごめんな、】

「なんで謝るの？」

【僕が今日社用車で来なかったら…
　ちゃんとルームランプ見てたらこんなことには…】

「いま"たられば"言っても遅いでしょ！
　とりあえずホテル探そう！」




めずらしくジンくんが凹んでる。
いつも明るくて冗談ばかり言うジンくんなのに、
こんな姿は初めて見たかもしれない。


2人で手分けして歩いて行ける範囲のホテルに
電話で問い合わせることにした。





「…そうですか…わかりました。」

【あぁ…ですよね、ありがとうございました。】

「どう？」

【全滅……】

「わたしのほうも……」

【そうか……】

「ジンくん…もう、いいよ。」

【は？いいって？】

「ここに一緒に泊まろう？
　シングルでも寝れないことはないから。」

【はぁ！？いやいや…】

「だって他に部屋ないししょうがないじゃん！
　電車もバスもタクシーもないんだよ？」

【いや…それは……
　いいや、ネカフェに行くよ。】

「ジンくんバカなの？
　ネカフェこそ空いてないに決まってるじゃん！」

【ヤ、ヤー！バカとはなんだ！
　そんな空いてないなんてわからないだろ！？】

「じゃあ電話して確認してみなよ！？
　わたしはとりあえずフロントで手続きするから！」




正直、もうこれ以上探すのはめんどくさかった。
お腹もすいたし、お風呂に入って温まりたい。
ジンくんがいようがいまいがどっちでもいい。


でも…
一瞬、ユンギくんが頭をよぎった。
また…怒られちゃうかな…
後で連絡しよう…





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