グリム様 ページ3
謎の青年の話を聞くに、今私が居るところはナイトレイブンカレッジとかいう魔法学校らしい。そしてこの中世ヨーロッパみたいな部屋は青年の趣味などでは無く、オンボロ寮と言って青年が生活するための建物だそうだ。
なんでも、この青年も気づいたらこの世界にいたらしく、魔法も使えないらしい。元の世界に帰ることが出来るようになるまでここで監督生として生活しているという事だ。
「……あ、あと、俺の名前はユウです。よろしく。」
『あ……私はAです。よろしく…』
爽やかな笑顔と共に差し出された手におずおずと答える。説明よりも後に自己紹介なんだ思いつつも、握られた手を握り返した。
……さて、問題はここからだ。もうすっかり私と仲良くなったつもりなのか化け狸に向かって挨拶しろだの言っている監督生くん。いや、ユウくん。
というか、監督生って、なんだよ。そんなソシャゲ主人公みたいな事ある？てか二人続けて同じ場所に異世界転生とかするもんなの？これから私どうしたらいいの？
ぐるぐるとなやんでいる間にぼーっとしてしまっていたらしく、化け狸が覗き込んできた。
「……おい、俺様が挨拶してやってなるのにどこ見てるんだゾ？」
『ああ、！ごめん、えと、なんだっけ？』
「だ〜か〜ら〜、グリム！グリム様って呼ばせてやってもいいんだゾ！！」
態度のでかい狸だな。と思いつつも手を差し伸べるとしっぽで思いっきりはたかれた。は？痛
どうやら口に出ていたらしい。誰が狸だ！！グリム様だ！！と暴れ回っている。本当なんなんだこいつ。
とりあえずこれ以上暴れないように''グリム様''に''お返事''すると苦笑いでユウが答えた。
「……はは、じゃあひとまず校長先生の所まで一緒に行こう。」
人生初の校長室は異世界で体験することになりそうだ。
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作者名：鬼野 | 作成日時：2023年2月9日 12時
