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「はいドーン!!」
「うわっ!何するんですか直人さん!」
「何するんですかじゃないよ!俺の前でイチャつきやがって!俺も混ぜなさいよ!!」
俺の存在を完全に忘れてキャッキャっとはしゃいでるように見える二人に無性にイラッとしたので取り敢えず邪魔をするべく握ってる手をチョップしておいた。
痛いと言って手を摩る臣が少し不満気にしてるような気もするけど関係ない。俺を忘れたお前達が悪い
『直人さんも付ける量が分からないんですか?慣れてそうなのに』
「……ぶっ、そうなんですか?直人さん。言ってくれたら教えてあげるのに」
「お黙り!」
ここで絶妙なアッパーをかましてくる最年少。
イヤそうじゃないんだ、そうじゃないんだよ、分かるだろ。いや分からないからこの発言なんだな。
普段は冷静で正直頭も凄く良いと思うんだけど、それ故なのかこっちが油断してる時に凄いパンチを繰り出すのがこの男、高嶋である。
おかげで臣がツボにハマって口元抑えてるけど全然隠せてないじゃないの。どうしてくれるのよ。
お前はお前で何か変な事を言いましたかって困惑した顔するんじゃねーよ
もうこのカオスな状況どうしてくれようか。
流石の俺でもまとめられないと思って溜息を吐きかけた時に、俺の手が握られる。
そしてそのまま高嶋くんの鼻先へと持ち上げられて、このタイミングで絡んでくるの?って、少し苦笑い。
『俺、直人さんとすれ違う時に香る匂い好きですよ。直人さんに似合ってると思います』
「へ、ぁえ…?」
これまた予想してなかった言葉に変な声が出てしまった。
思わぬ告白にいい歳して動揺してる俺を他所にやっぱり付け慣れてますねなんて呑気に話すこの男の何と罪深き事か。
天然なのかただのタラシなのか、この性格じゃこれまでたくさんの女の子を泣かせてきたんだろうなとか余計な事を考えてみたりもするけど、あの時香った甘いバニラにスパイスを効かせたどこかミステリアスな香りはお前にピッタリだと思うよ。
「お前はどっかの臣くんと違って素直でいい子だねー。普段からこんくらい素直だと直人さんもっと嬉しいんだけど?」
『別に素直じゃない訳ではないでしょう』
「出たよ屁理屈!そういうとこが素直じゃないんだってのー!」
「…えー、今度は俺が置いてかれる番?」
高嶋くんと二人で言い合ってる傍ら、臣が何か言ってたような気がするけど、聞こえないフリしとくわ笑
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作者名:おにぎり | 作成日時:2019年9月25日 23時