【三代目】その先も【男主】 (ページ5)

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高嶋くんたちBADWOLFがセッティングしているのを待つ中でざわざわと賑やかになってくるスタジオ。
今日は歓迎会も込めて飲み会だとか、どんな曲を歌ってくれるのだとか、この後他に仕事があったかだとか、たまにそれ関係ないだろって話をしてたりもするけどまぁそこはさ、待ちだからちょっと気も緩んじゃうってことで

「あ、そろそろかな？」

直己の一言で少し我に返る。いかんいかん、俺も少し意識が逸れてたわ。
割と高嶋くんたちの近くにいる人たちから波のように広がって、一瞬で辺りは静かに。
それを確認してニコリと微笑んだ高嶋くんは男でありながら美人だなーって、同性から思われるには嬉しくないだろうなって感想を持ったけど程なくして流れ始めた演奏にマジで衝撃。

「…はは。彼等すごいですね。ここでEXILEの曲持ってきたよ。アレンジしてるみたい」

「…だねー。マジぶっこんでくるじゃん。度胸ありすぎじゃない？さっきから直人さん驚いてばっかりよ」

もー何なのこのバンド。最初の挨拶といい、アレンジしてカバーなんて挑戦的な事ばっかり。
いや好きだよ。そういうの大好きよ！
それに、アレンジも上手いんだよ。無駄に演奏を強くする訳でもなく、ちゃんと元の曲を生かしながら自分達の色も混ぜてってんだろうなって感じがする。いやその辺分からんけど。そこは流石にバンドやってる彼等の方が詳しいとは思うけどね！
それでも、音を作るって事に対して詳しくなくても、伝わってくる何かはあってそれを感じ取れるくらいには、彼等は凄かった。

まぁ、何が一番すごいって…最初の出だしで俺等の興味を一気に掻っ攫っていった演奏に高嶋くんの声が全く負けてない事だよな。何だったらあの子の声で今完成したってくらい、あの子の歌の為に彼等が演奏してるんじゃねぇかってくらい一番際立ってた。

「すっごいわ…」

見事に、高嶋くんの宣言通り俺等は喰われちまったんだと思う。
俺等だけなんてものじゃなく、このスタジオ全てがお前に喰われちまったんじゃないかってくらいの衝撃だった。
最初に思ってた不安だとか、マイナスな思いを全部喰らったお前達は最高に格好良かった。