【三代目】その先も【男主】 (ページ26)

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高嶋くんの焦った声と剣幕に少し反応が遅れたけど、今の時刻を教えてやると今度はどんどん顔が青ざめていって帰ると言ってきた。
正直全く意味が分からない。まぁ確かに結構時間は経ってしまって遅い時間ではあるけど、未成年でもあるまいし。それに遅いからもう泊まってけばいいのに、なんて思ってたから

「え？今から帰んの？もう泊まってったら？多分コイツ等何人かはそのまま酔い潰れて泊まってくよ？」

『…いえ、帰ります。すみません』

泊まる事を勧めても頑なに首を縦には振らない。
それでもめげずに何回か説得しようとしたけど、高嶋くんはただ帰るとしか言わなかった。
なんだよ泊まれって言ってんのに、って自分でも若干眉間に皺が寄るのを感じ取っていた。でも、俺の眉間に皺が出来る前に高嶋くんの指先が、手が少し震えてる事に気付いてしまった。

「…どした？何か家に用事でもある？」

『…は、い。どうしても、帰らないと…』

それ以上は何も言ってくれない。
少し落ち着くまで待ってみたけど、何か言ってくる事は無かった。
なら仕方ない。強引に聞き出すのは違うと思って、俺もそれ以上は詮索しない事にした。
代わりに、未だ黙ったままの高嶋くんの頭に手を置いて、もういいよってくしゃりと撫でてやった。こんくらいのスキンシップは許せよなー。

「送ってやりたいけど、酒飲んじゃったしタクシー呼んだから。ったくー！世話が焼けるねお前は！」

冗談ぽく茶化してやればそんなの前からでしょって、少し調子が戻ってきたらしい高嶋くんの憎まれ口と微笑みが炸裂して俺は口元が引きつったけどしょうがないと思う。

あれからタクシーが来るまでの間に臣が気付いて泊まらないの？とか聞いて何か話してたけど、あと高嶋くんが帰るって事に気付いてもうベロベロに酔った健二郎と岩ちゃんにノリ悪ぃぞー！！とか言われてたけど笑顔で黙らせてたのを見てうちの奴等情けねぇななんて思った。

「…本当に帰っちゃいましたね、莢嘩」

「あー…うん。まぁ、何か外せない用事でもあったんじゃない？わかんねぇけど」

「こんな遅くに？……女とか？」

「………いやいやいや、まさか…ないでしょ。……ないよね？」

「……さぁ」

程なくして到着したタクシーに乗り込み帰って行った高嶋くんを見送った後に臣と話したけど、どうやら帰る理由は臣も聞いてないみたいで。

何となく、シコリがあるような…それが何かは分からないけど、気持ち悪い感じがしたんだ。