【三代目】その先も【男主】 (ページ16)

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おにぎりラバーページ16

ねぇ、誰かこの目の前で繰り広げられてる茶番止めてくれない？
さっきから俺の目の前でやいのやいの楽しそうにはしゃいでる岩ちゃんと高嶋。いや、主に岩田。寧ろ岩田しか楽しんでないように見える。

『…岩田さん。喧嘩売ってます？』

「そーんな怒んないでって！目の前に食って下さいってばかりにおにぎり差し出してたら食べるでしょそりゃ」

『…別に差し出してない。それに、一番美味しいとこ掻っ攫っていった』

昼間の休憩で、飯食おうかってそれぞれ選んだ昼飯を食ってたら突然岩ちゃんが隣に座ってた高嶋くんのおにぎりを食べちゃって。
うん、分かる。分かるよ。具が入ってる一番美味いとこ食べられたらそりゃ怒るよな。
俺はお前達の目の前に座ってたからね、食べられた時の高嶋くんの顔ったらもう。何が起こったか分からないって感じに呆然としてて一瞬笑いそうになっちゃったよ。
何か考え事でもしてたのか、高嶋くんはおにぎり持ったまま少しぼんやりしてたように見える。だからと言って岩田、隙ありとばかりに人の物を食べるんじゃありません。

「でも高嶋くんおにぎりだけじゃ足らないっしょ？普段からあんま食ってるとこ見ないし…ちゃんと食べないと筋肉付かないよー？」

『岩田うるさい』

「いやひでぇ！！そんな邪険にしないでって。ほら、これ食べなよ。あーーん」

『……は』

岩田の箸が、玉子焼きが高嶋くんに向けられている。
高嶋くんの時が止まってる。俺も一瞬時が止まった。
え、ズルくない？そんなスキンシップズルくない？

「岩ちゃん？お前はちゃんと自分のを食べなさい。そんで高嶋くんには俺の玉子焼きあげるから」

『何言ってるんですか直人さん』

「え…っ！でももうこの玉子焼きは高嶋くんのだし。わざわざ直人さんから貰わなくても大丈夫っすよ！な、高嶋くん！」

『だからいらない…っあ』

「うわっ、ごめん…！」

岩ちゃんが掴んでた玉子を食べさせようとして、それを避けようとして岩ちゃんの手首を掴もうとしたら箸が滑ったんだろうな。玉子焼きが見事に高嶋くんの胸元に落下。醤油の染みが出来ちゃってる。
衣装の上から羽織ってた私服が汚れちゃって。

取り敢えず私服を汚してしまって焦ってる岩田は正座させて、直己に任せる。たっぷりお説教だクソガキちゃん。