勘違いもほどほどに-参-【鬼滅の刃】

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愛故の悔しさなのか、彼は私の手をとても強く握った。




「一目惚れだった。甘露寺に継子が出来たと聞いて、どんな者かと思って見た時からだ」




＿＿なんですか、それ。




『………そんなの、知らない』




やっとこさ出てきたのは、少しばかり彼に反抗するような言葉で、とても幼稚な雰囲気をそのままに残している。

煉獄さんは私の言葉に、あぁそうだな、と頷くと額から私の手を離してそれを見つめた。




「甘露寺にも君にも言えるわけがない。俺達がなんの為に鬼殺隊に居るのか、分かりきったことだからな」


『そんな、素振りもなかったのに』


「隠すつもりだった。」


『どうして、』


「君が、困るだろう」



はっ、と喉の奥から潰れた声がする。
慌てて左手で首を抑えるがその手も煉獄さんに掴まれてしまって、手の先を追えば何とも愛おしそうに私を見つめる彼と視線がかち合った。


私が困るから、言わなかった。
ひとりで、墓場まで持っていくつもりだった。

なんて優しくて身勝手な人なんだ、煉獄さん。




「栗花落少女、俺は君に恋をしている。だからこそ聞かせてくれ」




＿＿君の応えを。



甘い。声が甘い。
瞳も、手も、纏う雰囲気でさえも。


でも私は言わなければならない。このまま流れに身を任せれば私はそれなりに幸せになれる。
女として、煉獄さんを夫に迎えて子供を作って、沢山笑顔が咲く良い家族を作れるかもしれない。




それでも、私は。

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