勘違いもほどほどに-参-【鬼滅の刃】

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「……酷い顔だな」




そう言って私のことを呆れたように見つめる伊黒さんに、彼が持っていた柔らかい紙で鼻をかんでから、すみません、と謝る。女子力はどこかに捨てました。



というか、泣き始めて数分経って気持ちもピークに達した時に、伊黒さんが様子を伺う為に現れるなんて誰が考えるよ。
準備してなかったんだから、こんな酷い顔にもなります。




「煉獄の事は聞いたか」


『……はい、軽く』


「そうやってお前が気に病む程では無い。鬼殺隊では今回みたいな事は良く起こる。現場での自身の力量に後悔しているなら、煉獄に恥じぬよう強くなるんだな」




そうした方が彼奴も救われるだろう、とベットに肘をついて頬杖をつく伊黒さん。

視線は私とは逆の方に向いているが、声があまりにも優しくて、気を遣わせてしまっているのはすぐに分かったけれど、私は謝ることもお礼を言うことも無く伊黒さんの横顔を見つめた。




「……何か言いたいことがあれば言え。」


『あ、いや……泣いてるのを見られたら、弱虫とか、色々、言われるかと思ってたので、その……』




少し意外でして。


伊黒さんの雰囲気が更に不機嫌になったかと思えば、いきなり私の額を指で小突いてきた。

いたっ、と額を抑える私。
ため息をつく伊黒さん。




「泣くことは弱者の逃げ道ではない。……甘露寺も、任務が上手くいかなかった時は、よく泣いている。気持ちが軽くなるんだろう」




こんな時でも蜜璃さんかよこの人。
らしいと言えばらしいけど。
蜜璃さん大好きかよ。私も好きだけど。




『……なんだか、蜜璃さんに会いたくなりました』


「……よかったな」

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