勘違いもほどほどに-参-【鬼滅の刃】

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「あんたって、ろくなことしないわよね」




母親の冷めた視線に、嗚咽を漏らしながら謝った8才の時。ちょうど父が亡くなって4年経ったくらいの事だった。



その日は、母親が珍しく家に帰ってきたもので、小さいながらに、ほぼひとり暮らしをしていた私の料理スキルを堪能させてやろうと、手作りのシチューを煮込んで待っていたのだ。

母親は父が亡くなる前も亡くなってからも、家にいる事が少ない。父が亡くなってからは、1ヶ月も帰って来なかった時もある。

でも毎月、深夜に帰ってきては、私が1人で生きれるくらいのお金を残してくれていたから、何とかここまで生きている。


でも母親に会えないのは寂しくて、だから今日くらいは、って。
シチューを煮込んでいたのだけれど。




母親は火のついたガスコンロを止めると、ぐつぐつと煮えているシチューを流し台に捨て、その行動に理解のできない私を叩いた。

そして一言。
「あんたって、ろくなことしないわよね」



その後、母親は私への文句を何時間も並べたが、正直あまり覚えていない。

今になって理解出来るのは、料理に使う光熱費等の出費が勿体ないから余計なことするな、と言う事くらいだろう。





その時の私は、誰がどう見たって報われてはいなかった。

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