勘違いもほどほどに-弐-【鬼滅の刃】

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ビシッと真っ直ぐに私だけを指さす嘴平さんの行動を見て、我妻さんが「お前何やってんだよォ！？」と発狂していたが、正直なにも気にしていない。



ただ、純粋に驚いたんだ。

私の皆さんへの態度がヘコヘコしていた様に見られていたこと。

良かれと思って使っていた敬語を鬱陶しいと言われ、めんどくせぇと言われたこと。



嘴平さんの感性はほかの人達と違うとは思っていたけれど、今になってそれが全面に出てくるとは。




「いいか！俺の名前は嘴平伊之助で間違いねぇが、“嘴平さん”じゃねぇ！！」




……なるほど。
彼がそう言う言い分ならば、私がすべき対応は、




『……伊之助、さん』




これだろうか。


正直不安でしかなかったが、伊之助さんは私の言葉に「やりゃあ出来んじゃねぇか」と満足そうにしていたので、どうやら正解らしい。

でもぶっちゃけ私からしてみたら違和感しかない。だって今まで嘴平さん呼びだったのに、伊之助さんって。慣れねぇよ。


うううん、と慣れない事をしている私を見て、様子を眺めていた我妻さんがそわそわと動き出した。




「Aちゃん、お、俺の事も、善逸って呼んで欲しいなぁ、なんて、あっ出来たらでいいから！嫌なら全然！ほんとに！気まぐれでいいんで！」


『善逸さん』


「ハォアギャ！？」




ぎゅんっと瞬時に顔まで真っ赤にさせた我妻さんは、そのまま固まって動かなくなる。えっ、となって慌てて近寄ろうとした私を、竈門さんが呼んで制止させた。

もしかして、と思って振り向くと、竈門さんはニコニコと笑い、自身のことを指さしている。ああ、なるほど。そういう事ね。




『……炭治郎さん』




これで満足かコノヤロウ(やけくそ)

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