43 ページ43
蜜璃さんは暫く私を離さなかった。
まるで、そこに居るのを確かめるように。ずっと、私を抱きしめていた。
どれくらい時間が経ったかも数えるのが億劫になった頃、彼女は自分からゆっくりと離れると、そう言えばね、と笑みを浮かべる。
「伊黒さんから、お手紙を預かってるの」
『伊黒さん、から?』
「そう。中身は見ちゃ駄目って言われてたから、何も見てないのよ」
どうぞ、と手渡された三つ折された文。私はそれを恐る恐ると受け取ってから、開く。
こんな任務で怪我をしやがって未熟者、みたいな事が書いてあったら、事実だけど軽くへこんでしまうかもしれない。
伊黒さんなら書きかね無いから、覚悟しておこう。
そろりそろりと開いた手紙の文面に目を走らせると、そこに書いてあったのは私の予想と反するものであった。
体に大事は無いか。
調子は如何なものか。
食事はちゃんと摂っているか。
心は、大丈夫か。
全ての文字が私の事を案ずるものばかりの文に、読み終わった頃の私の視界はぼやけてしまう。
蜜璃さんは私の頭を軽く撫でると、少しだけ眉を下げた。
「伊黒さんはね、分かりにくいけれどAちゃんの心配してたのよ。ずぅっと動きがぎこちなくて、Aちゃんの名前を出すとあからさまに動揺してしまうし……」
『……』
「他にも煉獄さんや不死川さん。宇髄さんとか、悲鳴さんとか、冨岡さん、時透くんからも、Aちゃんの様子はどうだーって聞かれたわ」
蜜璃さんは少しだけ目を細める。
「愛されてるのね、Aちゃん」
2529人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そあ Free sky - 私は現実で愛されていないからですかね?愛されている夢主を見て泣いてしまいました。頑張ってください! (2019年10月6日 21時) (レス) id: 4b25111a5e (このIDを非表示/違反報告)
名無しの刃 - 富岡…?恐らく冨岡では…?偉そうにすみません… (2019年10月3日 23時) (レス) id: 7c2b7aa7df (このIDを非表示/違反報告)
まっち - 続編おめでとうございます!本当に面白いと思いました。これからも頑張ってください!応援してます。 (2019年9月22日 22時) (レス) id: d74e1015ce (このIDを非表示/違反報告)
銀炉(プロフ) - 初コメ失礼します、続編おめでとうございます!7話がなくて話が抜けてますよ!更新楽しみに待ってます! (2019年9月22日 13時) (レス) id: c268784eb7 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張ってください! (2019年9月21日 23時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:-naki- | 作成日時:2019年9月21日 23時