検索窓
今日:6 hit、昨日:55 hit、合計:1,179,784 hit

37 ページ37

謝罪する暇を無くしてやろうと思っていたら、その思いが強すぎて、意図せずと彼の片手を両手で握る。

私の両手でやっと収まる大きな手。固くてごつごつしてる、骨ばった手に、私は少し冷静になってから『やったわこれ』と冷や汗をかいた。


その場の勢いとは言え恋仲でもない男性の手を握るのはどうなんだろうか嫌だったら振り払ってほしいんだけど竈門さん優しいからそれが出来ないんじゃないかなやばい私捕まるかもしれな、




「Aは優しいな」


『ほんとごめ……ん?』




竈門さんの言葉に敬語もクソも無く顔をあげれば、彼は私のことを蔑んだ目で見ることはせず、ただひたすらに笑顔で見つめている。


紅い真っ直ぐな瞳に、私の身体は硬直した。

わ、なんだこれ。やばいぞ。
何故かいけないことをしてる気分だ。




「……実は、二度目にあった時からAの事を守ろうと決めていたんだ。勝手にごめん」


『え、あ、……?』


「Aの匂いは凄く優しいし真っ直ぐだけど、一人では抱えきれない何かを隠し持ってる匂いもした。それが鬼を狩る事に強くなってるから、なんて言うんだろう……Aは、禰豆子と同じで守らなきゃと思ったんだよ」




ぱりん、と。
心の何かが竈門さんの声で弾ける。

ひゅ、と喉の奥が窄まる感覚がして声が出なくなった。元々毒によって出にくい声が、蓋をしたように完全に出ない。





私は誰かに私の弱さを見せようと考えたことも、実行しようとしたことも無い。
寧ろ、誰かにこの気持ちを悟られるのが怖くて、絶対に自分を出すまいかとしていたんだ。


なのに、それなのに。




『(なんで君は私の中に入ろうとするんだ……)』




やめてくれ竈門さん。
頼むから。

無自覚に踏み込んでいる足を戻してくれないか。

38→←36



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (647 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2530人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

そあ Free sky - 私は現実で愛されていないからですかね?愛されている夢主を見て泣いてしまいました。頑張ってください! (2019年10月6日 21時) (レス) id: 4b25111a5e (このIDを非表示/違反報告)
名無しの刃 - 富岡…?恐らく冨岡では…?偉そうにすみません… (2019年10月3日 23時) (レス) id: 7c2b7aa7df (このIDを非表示/違反報告)
まっち - 続編おめでとうございます!本当に面白いと思いました。これからも頑張ってください!応援してます。 (2019年9月22日 22時) (レス) id: d74e1015ce (このIDを非表示/違反報告)
銀炉(プロフ) - 初コメ失礼します、続編おめでとうございます!7話がなくて話が抜けてますよ!更新楽しみに待ってます! (2019年9月22日 13時) (レス) id: c268784eb7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張ってください! (2019年9月21日 23時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:-naki- | 作成日時:2019年9月21日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。