勘違いもほどほどに-弐-【鬼滅の刃】

14 ページ14

「だからお前は、引っ込んでろ！！」




絶対に退くまい、と意志を見せる我妻さんに、まず一発。猪さんの拳が入った。それでも我妻さんは木箱を抱えるようにして、守る。

正一君が隣で小さな悲鳴をあげたのを聞いて、私は、居てもたっても居られなかったんだ。




『それ以上は、やめてください。』




今まさに我妻さんに振り下ろそうとしていた腕を掴んで制止させると、あ？と言いながらこちらを振り向く猪さん。




「邪魔すんじゃねぇよ。俺は箱に用があんだよ」


『だからと言って暴力を振るっていい訳にはなりません。隊員同士での争いは御法度です。』


「細々細々うるせぇ……このオンナが！！！」


「っ、Aちゃん！！」




押さえきれるはずも無い足が私の腹部に直撃して、ピシッと嫌な音がした。
思わず蹲る私に、猪さんは足で私の肩を押す。それに逆らうことなく後ろに倒れると、今度は右肩を踏まれてしまった。




『ぐっ、……』




やばい、動けん。
痛みと、疲労で。

せめて出来る反抗として、踏んずけている足を掴むことしか出来ない。我妻さんは「その子から足を離せクソ野郎！！！」と口を悪くしながら吠えてくれた。


猪さんはその悪口に気を取られたとか、私から足をどかして我妻さんと向き合う。



それからはもう、我妻さんを踏んだり蹴ったり殴ったり。
我妻さんは箱を抱えるので精一杯だから、時たま私が脚を掴んだりして止めたのだけれど、その度に振り払われ、腹部に1発貰う。



私一応女なんだから優しくしてよ。
今ここに蜜璃さんかしのぶさん居たら、貴方殺られてるよ？社会復帰不可能になるよ？

15→←13 雷

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す