エースの妹はエースなわけで。3

118話!! ページ44

赤葦side



彩羽が、負けた。

正直決勝までは確定だと思ってたけどそんなことは無かった。
未だに信じられない頭でぼーっと考え事をする。



彩羽のあそこまで絶望した顔を見るのは去年の春高以来だった気がする。

まあでも森先輩に励まされて調子戻ったみたいだし。








…。



…いや、違うだろ、俺。
これじゃあ去年と同じじゃないか。なんの声もかけずに知らない振りして。



なんて声かけるかなんて全く決めてないけど動き出した足は止まらなかった。




＿＿＿＿




試合が終わってホテルに着いて、準備も終えてさあ寝るぞ、ってところで京治から電話が来た。



何かと思って出ると、ホテルの下来てって言われて。
まさか来てんの？！って思ったら案の定来てました。



｢京治？！明日も試合あるんでしょ早く寝ないと！！｣



｢いやそんなことより｢そんなことよりって何？｣…え、あ、｣



しまった、という顔をしている京治。あーもう下らない八つ当たり。もう喋っちゃダメって頭ではわかってるけど口が止まらない、



｢私が出られない決勝を“そんなこと”で終わらせるの？｣



｢…違う、ごめん。｣



｢…、私こそごめん、八つ当たりした。｣



また自分が惨めに感じて目に涙が浮かぶのが分かる。いや涙脆すぎだろ私。



｢去年の春高、彩羽が落ち込んでたの知ってたけど特別仲良い訳でもないし見て見ぬふりしてた。

でも今年は絶対そんなことしたくなくて、別に大したこと言えないけど少しでも励ましになればいいなって思って話に来た。…さっきの失言はごめん。｣



京治は京治なりに色々考えてくれてて、私を励まそうとしてくれている。
…良い友達を持ったなぁ。

とはいえ京治は全くの無計画で来たらしく、珍しくオロオロしてる。ウケる。



フラフラと歩いて抱きつくと、明らかに体が強ばった。



｢…昨日の仕返し。5分このまま、｣



｢…うん。それでいいなら。｣

119話!!→←117話!!

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す