117話!! ページ43
敗因は一目瞭然だった。
私のスタミナ切れ。
今までの5セットマッチの試合は大体ストレート勝ちか4セット目で勝負がついてた。
ほぼ初めての5セット目。中盤あたりでふと足に力が入らなくなって、急に吐き気が襲ってきた。
立とうとしても足は震えるばかりで、ベンチに下げられて1回吐いた。
それからは試合が進むのが早く感じた。
ベンチから見たみんなが負ける姿は小さくて遠くて。敗北に対する悔しさはあまり無くて自分がただただ惨めだった。
ふと聞こえた「梟谷がいかに木兎ワンマンのチームか分かるよね」という声。
違う、違う違う、みんな強い、
…否定する声すら出ない。みんながコートで泣いているのに涙も出ない。
どうしてあの時もっと走り込み真面目にやらなかったんだろう、どうして体力育成に力を入れなかったんだろう、どうして、どうして、どうして。
ぐるぐると考えてると誰かが自分の頭に手を乗せたのが分かった。
下を向いてた顔を無理やり上げるとユキ先輩。春高も優勝するって約束したのに、あーもう。
「自分ばっか責めないで。私たち彩羽に頼りすぎてた、ごめんね。」
「…違う、謝らないで、違う、」
「違くないよ。ワンマンって言われる理由もよくわかる。だから私たちも強くなれるように頑張るから、彩羽も今後の課題見つかっただろうからそれを解決するために頑張ろうよ。」
優しく笑いかけてくれるユキ先輩を見て涙がじわじわと浮かんできた。
「…、っ、ユキせんぱ、さいごの、大会、ひぐっ、勝たせてあげられなくて、ごめ、なさ、っ、」
泣きすぎてもはや言葉になってないけどユキ先輩はちゃんと理解してくれて。
「私ね、まだ彩羽とバレーしてたい。
彩羽が今後どんな道に進んでいくのかは分からないけど、私大学でもバレー続けるよ。それでもっと上手くなってプロになっていつかまた彩羽にトスをあげる」
「…え、高校で辞めるんじゃ、」
「なんか彩羽見てると辞めたくなくなっちゃった!
彩羽のおかげでバレー続けたいって思えたよ、彩羽に出会えてよかった。
だから自分のこと嫌いにならないでね。」
「…大好きです、ユキ先輩」
「うん、私も大好き」
…こういう時だけデレなのずるい。本当にずるい。
____
“彩羽ちゃんは走り込みなどの体力作りが嫌い”という伏線をちまちま入れてたんですけど伝わってましたかね…
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月乃派 - 彼女から見た印象をお願いします。 (2022年1月18日 13時) (レス) @page50 id: 2fabf89436 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 採用ありがとうございます!!これで1週間は生きていけます……!! (2020年7月26日 23時) (レス) id: 3d497f3b24 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き(プロフ) - 先輩から逃げられると思うなよッッッッ!!赤葦くん……ドンマイ!!(超笑顔) なっぱさんリクエスト採用ありがとうございます!!!! (2020年7月23日 21時) (レス) id: 9c699bdb39 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - リクエストです!!宮城に行って雪でエンジョイして欲しいです! (2020年7月22日 7時) (レス) id: 922d9dcc2b (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き(プロフ) - 赤葦くんが彩羽ちゃんを抱きしめてて、先輩が二人っきりにしたあとのからかわれてるシーンって書いてもらえますでしょうか…!(/ω・\)チラッ アッスミマセン リクエストデス (2020年7月21日 23時) (レス) id: 9c699bdb39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なっぱ | 作成日時:2020年6月22日 20時