私の恩人＊S・Sho＊ (ページ8)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:892 hit

Episode 8 ページ8

朝起きて、朝食をとった後、すぐに俺の担当の医師が来た。

腕はあるらしいが、残念ながら性格が冷たい。

正直、俺はこの人が苦手だった。

『櫻井さん、昨日の夜、夜勤の看護師が櫻井さんが激しくうなされていると報告してきましたよ。何かありましたか』

…そんなにうなされてたのか、俺。

『いえ…特に何もありませんが』

『…もしかして、木南Aさんですか』

『なっ…』

『そうですか。あの子もストレス抱えて大変そうでしたからね、会ったか話すかして、自分の過去も思い出してしまいましたか。まぁ、あなたも私も大人ですから、治療以外でとやかく言うつもりはありませんが、万が一、前のようなことがあると大変なのでね。』

『なんかすいません…』

『では、私は失礼します。あぁ、木南さんに会ったら、少し話でもして気を楽にしてあげてくれたらありがたいのですが。こういった事は、医者がしようと思っても難しいですからね』

そういって、となりのお爺さんに声をかけていなくなった。

…あれ、以外といい人だった？

『先生、あなたはひとつ、間違ってますよ。先生に言われなくても、俺はAちゃんに会いますよ』

となりのお爺さんに聞こえないくらい小さく呟いた。

昨日はたまたま手ぶらだったが、しばらく出歩こうと思うときは、一応杖をもつ。

リハビリ用の、持ち手に『二宮病院第二外科』とかかれた杖を持って、病室を出た。

まっすぐ、屋上に。

…やっぱり、杖あると階段登りやすいや。

重たいドアを開け屋上に出る。

…あ、いたいた。