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手越サイド
母さん達を来客室に案内し、向かい側に座ってもらった。
俺が真ん中で右に大我、左に嶺亜が座っていて、
俺もだけど2人も、緊張の面持ちで顔がひきつっている。
目の前には、グレーの髪に髭を生やした老紳士…城山勲さん。
母さんと璃蘭さんのお父さん…つまり、俺と小太郎のおじいちゃんだ。
右には母さん、左には璃蘭さんが座っている。
一体、何をしに音楽塾に来たのだろうか。
勲「さて、本題に入ろう。本来、城山家の相続権を1番上の子供である瑠知亜に譲ろうと考えていたが、瑠知亜は不祥事で相続権を失った」
瑠知亜「…っ」
おじいちゃんはそう言うと、紅茶を一口飲んだ。
勲「そこで、妻と考えた結果、孫である小太郎に譲ろうと思い、小太郎の叔父で養父の暖に手紙を送った。相続権の話だと、暖の社長秘書である早見に伝えた。だが、暖と露伊と2人の妻、露伊の息子は納得がいかなかったそうだ」
手越「(暖さんと露伊さんは、俺の叔父さんでもあったんだよね。早見さんに、奥さんと息子さんとまとめて殺されるなんて、可哀想に(´・д・`))」
勲「そこから、揉め始めて家族の崩壊が始まったらしい。その夜中、早見が家に火をつけて火事になり、亡くなった。小太郎は友人の家に泊まりに行っていて、免れたから良かったが…」
おじいちゃん。早見さんに火をつけるように指示したのは、小太郎なんだよ。
だけど、小太郎は家族にぞんざいに扱われていたのを早見さんがつけこんで、おかしくなってしまったんだ。
アイツは悪くない。
でも、本当の事をおじいちゃんと璃蘭さんに話すわけにもいかなかった。
早見さんと俺の親父が人魚である事を。
そして、俺が人魚と人間のハーフである事を。
勲「息子達が納得がいかないと、早見が話していたが、まさか火事を起こした犯人があの女だったとは。きっと、城山家の相続権を奪おうとしたのだろう」
嶺亜&手越&大我「…」
勲「おっと、長く話してしまったな。昨日、小太郎が入院している病院に行ってきた。アイツに、相続権の事を話して継ぐようにお願いした。しかし…」
手越「しかし…?」
瑠知亜「…断ってしまったの」
手越「ど、どうして…?」
勲「小太郎は…」
小太郎『僕は相続権を失った母親の息子だ。それに、ローレライが倒産してしまったし、僕は何もできない情けない男なんだ。相応しくないよ。それに、兄貴達に迷惑を掛けてしまった…』
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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年7月12日 22時