駄菓子屋 ページ8
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早く寝たおかげもあってか、翌日は5時には目が覚めた。とは言ってもやはり夏だから、辺りはうすら明るくすでに蒸し暑い。
いつもと違う布団で寝たから眠りが浅かったのだろうか、なんだか不思議な夢を見たような気がするけれど、どんな夢だったっけ。
まあ昨日の夜に最後に口にしたものすら思い出せないような人間だから、いくら頭を捻ったところで思い出せるはずもないのだが。
眠たい目を擦りながら茶の間に向かうと、すでにおばあちゃんは起きてお茶を啜っていた。
「A、おはよう」
「おはよう、ずいぶん早いんだね」
いつもより早めの朝食を取った後、様々なニュースを映して目まぐるしく変化するテレビの画面をぼんやり眺めるおばあちゃんに一声かけて、客間へと戻った。
勉強をするためだ。
ぶっちゃけここでまでやる気はあんまりなかったのだが、やっぱりやらなきゃダメという義務感半分、昨日「頑張ってね」と言われたことで出たやる気半分で机に向かうことにした。
◇
乗り気ではなかったはずなのに、静かな環境のおかげか勉強にのめり込むことが出来た。
昼食を挟んだ後も集中力は続き、気づいたら18時を回っていた。我ながらびっくり。
せっかくおばあちゃんに会いにきたのに勿体ないことをしたかもしれないと思いながら茶の間に戻ると、近所に住むおばあちゃんの友達が来ていた。
例の如く名前が思い出せないが、それはもう仕方がない。軽く会釈をし通り過ぎようとすると、その人に呼び止められた。
「Aちゃん、すごくお勉強頑張ってるのね。お小遣いあげるから駄菓子でも買ってらっしゃいな」
「…!ありがとうございます!」
にっこりと笑って渡されたのは300円。駄菓子なんてしばらく食べてないから、小学生でなくとも浮き足立った。
昨日の公園の近くに駄菓子屋があったっけな。確かそこの店主もおばあちゃんの友達だった気がする。
お礼を述べ、サンダルを引っ掛けて外に出る。夏特有のムワッとした空気が鼻についた。
お目当ての駄菓子屋に着くと、時間が時間だからか人はおらず、柔らかい笑顔の店主のおじいさんが迎えてくれた。
並ぶ商品は懐かしいものばかりでどれを買うか悩んでしまう。
しばらく悩んだ末、ちょうど300円分のお菓子を手に取り、おじいさんのところへ向かおうと、
足を一歩踏み出した時。
「おじさんこんにち…あれ、Aさん?」
見覚えのある顔が2つ、入り口のところに現れた。
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すーも(プロフ) - S.Eさん» S.Eさん、コメントありがとうございます…!スランプだったんですけどめちゃくちゃモチベ上がりました!頑張ります、最後まで楽しんでくださると嬉しいです!! (2020年11月29日 9時) (レス) id: d064647486 (このIDを非表示/違反報告)
S.E - めちゃくちゃすきです…!!え…瀬見さんかっこよすぎません??白鳥沢と稲荷崎とか私得すぎて… 更新楽しみに待ってます!!無理せずに頑張ってください!! (2020年11月27日 21時) (レス) id: fd1540b68a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すーも | 作成日時:2020年8月4日 19時