蝉 ページ14
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「え、私何か変なこと言った？」
怪訝そうな顔のおばあちゃんに問いかける。その質問への回答はイエスで、どう説明するか悩んでいるかのような間の後、おばあちゃんは口を開いた。
「蝉が1週間で死ぬって言うのはただの俗説だよ。本当はもっと長生き」
「え、そうなの？」
「そうだよ。飼育が難しいからそういう噂が広まったみたいだね」
そう淡々と告げられた言葉に吃驚した。小さい頃から蝉は1週間で死ぬと信じていたから。
おばあちゃんは昆虫が好きだから血が滾るのだろう、その後も長々と蝉について語られたけれど正直ほぼ聞いてなかった。
興味がないというのが主な理由だけれど…なんでだろうか、セミセミ連呼されているせいでどうにも瀬見くんの顔がちらついてしまう。
瀬見くんは蝉の寿命のことを知っているのだろうか。今度会ったら聞いてみようか、
「…今度？」
と。そこで自分の考えていることに驚いた。蝉の寿命の話より、全然。
今日は4日目。残りは今日入れて4日…と言いたいところだけど、最終日のお昼の飛行機で帰るから実質あと3日と半日。
ここ3日は偶然の悪戯で連続して会うことができたけれど、残りの数日で会えないことも十分にありえる。
なのに、…"今度"だなんて、
「…A、どうかしたのかい」
「へっ」
「難しい顔してたよ」
そう言われ、頬に手を当てる。心配させないよう笑顔を取り繕ったが、頭の中はまた会えると
彼らとは確かに会ったばかりの時よりはだいぶ打ち解けたし、仲が悪いということはない。が、とても仲がいいとも言い難い微妙な関係なのに。
けれど、彼らといるのが楽しいのも、また会えたらいいなと思っているのも事実だ。素直に会えなくなるのは寂しいと思う。
そうこう考えていたらなんだか居ても立ってもいられなくなって、お遣いを引き受けるという名義で外に出た。
まだ日が照っているから暑さは一入で、蝉の鳴き声も煩い。
周りを見回してもそれらしい姿は見えず、とうとう買い物を終えても会うことはなかった。逆に今までがイレギュラーでこれが普通なんだろうけど。
ふと見えた白鳥沢学園の敷地内に生徒の姿がないことから考えると、今日は部活がないのだろうか。そうだとしたら外に出ていないのかもしれない。
ということで、その日は宮城に来てから初めて瀬見くんや天童くんに会うことのない一日となった。
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すーも(プロフ) - S.Eさん» S.Eさん、コメントありがとうございます…！スランプだったんですけどめちゃくちゃモチベ上がりました！頑張ります、最後まで楽しんでくださると嬉しいです！！ (2020年11月29日 9時) (
レス) id: d064647486 (このIDを非表示/違反報告)
S.E - めちゃくちゃすきです…!!え…瀬見さんかっこよすぎません？？白鳥沢と稲荷崎とか私得すぎて… 更新楽しみに待ってます！！無理せずに頑張ってください！！ (2020年11月27日 21時) (レス) id: fd1540b68a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すーも | 作成日時：2020年8月4日 19時
