お客さん ページ11
.
服を乾かしに洗面所へ向かった瀬見くんを見送り、ちゃぶ台の周りに4つ座布団を置く。
天童くんは「ありがとネ〜」なんて足を伸ばしているけれど…もう1人の男の子、もといぱっつん君は足を伸ばすどころか座ろうとさえしない。
そりゃそうだ。面識もあり同い年でもある天童くんとは違い、彼にとっては名前も学年も知らない初対面の人の家にいるという状況なのだから。
「…ごめんなさいね、うちのおばあちゃんが。とりあえず座ってください」
「…っ、はい!」
とりあえず彼の緊張を解そうと声をかけると、想像よりも全然大きな返事がきた。天童くん達とお揃いのジャージから察するに、彼もバレー部なのだろう。
「3年生?」
「いえ、1年生…白鳥沢バレー部の五色工といいます」
と、学年から聞こうと思ったら律儀に自己紹介してくれた。やはり強豪運動部の威厳というか…礼儀正しさを持ち合わせているように思える。
例の如く私は名字と学年をさらりと伝え、当たり障りのない会話を続けていると、瀬見くんが戻ってきた。
もう一度彼に謝り、ちゃぶ台の上に並べられた氷の入ったコップ4つに麦茶を注ぐ。
「どうぞ、今日暑いね」
「ありがとな、Aさん。…Aさんの家、広いな」
と、その瀬見くんの言葉で、とある事実に気づいた。
___そういやこの人たち、私が
そりゃ、私が彼らに話したことといえば、学年と名字と帰宅部なことくらいだ。知っていたら逆に怖い。
「あー…ここ、私の家じゃないよ。おばあちゃんの家」
「?…ああ、帰省中か」
「そう、本当は兵庫に住んでるの」
そう答えると、瀬見くんは目を見開き五色くんは相槌を打った。大して驚くような話でもないような気もするが、天童くんはオーバーリアクションをとった。
「そうなんだネ!因みに高校は?」
と。そんなの、東北の中ですらないのだから知るはずがないだろう____と思ったところで、バレー部が強いという共通点を思い出した。
「…稲荷崎高校ってところ」
そう答えるなり、3人とも声を上げて驚いた。やはり知っていたか。そのあまりの驚きぶりにこっちが驚いてしまう。
「稲荷崎ってことは、あの双子ともお知り合いだったりするんですか?」
目を輝かせながら聞いてきた五色くん。あの双子といえば…名前を聞かなくとも分かる。
そんなに憧れるような存在なのか?と思いつつ、首を縦に振った。
.
68人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すーも(プロフ) - S.Eさん» S.Eさん、コメントありがとうございます…!スランプだったんですけどめちゃくちゃモチベ上がりました!頑張ります、最後まで楽しんでくださると嬉しいです!! (2020年11月29日 9時) (レス) id: d064647486 (このIDを非表示/違反報告)
S.E - めちゃくちゃすきです…!!え…瀬見さんかっこよすぎません??白鳥沢と稲荷崎とか私得すぎて… 更新楽しみに待ってます!!無理せずに頑張ってください!! (2020年11月27日 21時) (レス) id: fd1540b68a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すーも | 作成日時:2020年8月4日 19時