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『 送っていきます 』
「 え、いいのに… 」
『 Aさんのダーリン候補ですから 』
その笑顔に、少しでも「悪いよ」と思ってしまった自分に呆れる。
奢ってくれた彼は送ると言うより、着いてきていた。
「 …あのさあ、ほんと大丈夫だから 」
『 いいんです 』
「 着いてきたいだけでしょ 」
『 …バレましたか 』
「 帰って、お願い 」
これ以上つきまとまられるのも迷惑だし、いっそのこと小瀧くんには嫌われてしまおう。
そしたらこの子はもうわたしから離れるかもしれない。
そう思ってわたしは、彼を突き放した。
「 迷惑だから 」
『 …はい 』
猫背をさらに猫背にして、シュンとした顔で振り返った。
とぼとぼという効果音がぴったりのその背中に、一安心。
わたしもこれでいいんだと、彼に背中を向けた。
…それなのに、
「 …わっ、 」
肩にたくましい腕が回される。
わたしを強く引き寄せて、すっぽり小瀧くんのなかにはいった。
え、展開早いって、なにこれ。
耳元でなにか呟かれた。聞き取れなかったけれどたぶん、わたしの名前。
小瀧くん、ガチ恋なの?
わたし、ずっとおふざけでからかわれてるのかと思ってたよ。
「 離して 」
『 … 』
ほんとにやめて、と振りほどこうとしてもどこまでもわたしに絡みついてくるその腕に、
なぜか胸がどきんと高鳴ってしまった。
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りぃな - この作品、めっちゃ好きです。小瀧くんの一人称がおれになるときが…何て言うか、やばいです (2020年10月24日 22時) (レス) id: 6d972d4f2d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - えむさん» ありがとうございます〜!!遅くなってしまってすみません! (2019年1月22日 23時) (レス) id: dbd2bbadc1 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - なんか、花男っぽいですね!たのしいです (2018年9月7日 20時) (レス) id: 3391b849bb (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - ミルキァさん» ありがとうございます〜!!アンチがいるんですけどそう言ってくださる方がいるだけで嬉しいです!(;;)ありがとうございました!! (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - (さら)さん» ありがとうございます!続きは書く予定はありません(;;) (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楓花 | 作成日時:2018年6月10日 23時