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『 かわいい 』
「 は? 」
『 Aさんが照れるなんて、珍しいすっね 』
「 …照れてないよ 」
「小瀧初勝利!」なんて大袈裟にガッツポーズして、
それから可笑しそうに「はは」って笑う光景に、もう慣れて。
いつも隠れてドキドキしていたことは、言わないでおこう。
風もなんだか冷たくなって、ココアもなくなるし、
午前は暖かかったから、わたしもまあまあ薄着だし。
小瀧くんなんてもっと薄着だ。セーターとマフラーだけだ。
『 結構歩きましたね 』
「 疲れた 」
『 …僕ん家泊まっていきます? 』
「 ...え、だって、駅、わたしの一個前なんでしょ? 」
「 なんで余計に一駅分歩かなきゃいけないのよ 」
「えー」と駄々こねる小瀧くん。
それから寒そうにして、手をフーッと温めてる。
それって、手を繋ぐ展開を狙ってるのかな。
…って、それは考えすぎだよね。
『 でもほんまのこと言うと、ここどこか分からないっす 』
「 …はあ? 」
『 Aさんは? 』
「 わかるわけないじゃん 」
『 …ええっ!! 』
「やっべぇぞ」なんて、小瀧くんは楽しそうに笑ってるけど、そうなるとわたしたち絶賛迷子じゃない?結構やばい状況じゃない?
『 …Aさんのケータイは? 』
「 あ、あるよ 」
よかった〜!と安心したけど、
どうやら、わたしのケータイも使い物にならないようで。
「 …あと充電、5%しかない 」
『 来た道戻って、電車乗ります? 』
「 道わかるの? 」
『 分かりません 』
だと思った。
小瀧くん、わたしのことかわいいかわいい言って、ほぼ浮かれてたもんなぁ。
道真っ暗だし、下手に動いたらほんとに朝になるまで帰れなそう。
『 …ココア、僕も飲みたいです 』
わたしがかなり、焦ってる中で、
小瀧くんは暢気な声で、わたしの空になったココアの缶を指した。
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りぃな - この作品、めっちゃ好きです。小瀧くんの一人称がおれになるときが…何て言うか、やばいです (2020年10月24日 22時) (レス) id: 6d972d4f2d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - えむさん» ありがとうございます〜!!遅くなってしまってすみません! (2019年1月22日 23時) (レス) id: dbd2bbadc1 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - なんか、花男っぽいですね!たのしいです (2018年9月7日 20時) (レス) id: 3391b849bb (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - ミルキァさん» ありがとうございます〜!!アンチがいるんですけどそう言ってくださる方がいるだけで嬉しいです!(;;)ありがとうございました!! (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - (さら)さん» ありがとうございます!続きは書く予定はありません(;;) (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楓花 | 作成日時:2018年6月10日 23時