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『 …すみません 』
甘めの声がわたしを引き止める。
わたしかな？と確認しながら、ゆっくり振り返れば男の人が体側姿で立っていた。
「 …な、なんですか？ 」
見たことあるような気がして、少しだけ目を凝らす。
「あの、おれ」とわたしを見つめる大きな瞳。
こんなにまじまじと見られるのは初めてで、なんか恥ずかしくなる。
そんなわたしとは裏腹に彼は堂々しながらとんでもない言葉を口にした。
『 僕、あなたのこと、 』
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『 …好きになってしまいました 』
「ごめんなさい」と深く頭を下げて、茶色い頭がわたしの方を向く。
「 …え、え？ 」
頭がよく回らない。
大学からの帰り道を歩いているところで、知らない男の人に「好きだ」と言われ、何故か「ごめん」と頭を下げられてる。
理解不能な状況だった。
「 …いや、あの 」
普通に気持ちが悪いし、シンプルに怖い。
早足でその場を去ろうとすれば、ぎゅっと腕を強く掴まれてしまって。
『 …もしかして、覚えてません？ 』
「 え？ 」
眉を下げて聞いてくるけど、わたしの記憶に彼は存在しなくて。
首を縦に振れば、「やっぱり」なんて苦笑いを浮かべた。
『 めっちゃくちゃ酔ってましたもんね、Aさん 』
「 …え、な、なんでわたしの名前 」
ますます怖い。
「あとで説明しますから」なんて笑顔を見せられても、困るだけで。
『 …改めて。
僕、二年の小瀧です。よろしくお願いします 』
聞き覚えのあるような、ないような名前が、わたしの頭をループして。
「 …あっ、小瀧くん！ 」
わたしの中のひとつの曖昧な名前と繋がった。
でも、彼の記憶は全然ない。
ん？どこであった？てかいつ？
ていうかなに繋がり？？
『 …まぁ、名前だけでも覚えててくれて嬉しいっすけど 』
苦笑いを浮かべた彼は、困惑しているわたしの腕を掴んでいた手を離して、少し歩いたところにある喫茶店を指差した。
『 この前のこと全部話す代わりに、僕とあそこ行きましょう 』
「 …え、あ、うん 」
どうやら、めんどくさい人になつかれてしまったようです。
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りぃな - この作品、めっちゃ好きです。小瀧くんの一人称がおれになるときが…何て言うか、やばいです (2020年10月24日 22時) (
レス) id: 6d972d4f2d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - えむさん» ありがとうございます〜！！遅くなってしまってすみません！ (2019年1月22日 23時) (レス) id: dbd2bbadc1 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - なんか、花男っぽいですね！たのしいです (2018年9月7日 20時) (レス) id: 3391b849bb (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - ミルキァさん» ありがとうございます〜！！アンチがいるんですけどそう言ってくださる方がいるだけで嬉しいです！(；；)ありがとうございました！！ (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - (さら)さん» ありがとうございます！続きは書く予定はありません(；；) (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楓花
| 作成日時：2018年6月10日 23時
