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着いた場所は高知県で、
よね先輩は私の手を引く。
「よね先輩・・・どこ行くの?」
「・・・・着いてきたらわかるよ。」
バスに揺られて30分。
着いた場所は山の中の滝壺で、
そこがどこか、見覚えがあった。
「仁淀ブルー・・・、」
「そう。」
「・・・・・・、」
水面は水色に見えるくらい透明で、
その美しさに、思わず言葉を失ってしまう。
揺れる水面をただただ、眺めていると、
「ジブリみたいだ、」
そう隣でよね先輩は呟いた。
「え、」
「ん?」
『ジブリみたいだ。』
この間、夢に出てきた。
そうだ、私、この場所を知ってる。
「・・・・・っ・・・、」
記憶の断片が込み上げる。
あの時も、彼は私をココへ連れてきた。
青の世界。
そうよ。だってこの景色を見て、
あの絵を描いたんだから、
「っ・・・私、この場所知ってる・・・、」
「え?」
「・・この場所・・・、」
「ここ、来たことあるの?A、高知に行ったことなかったって言ってなかった?」
よね先輩の声にハッとする。
あの時、隣にいたのって、よね先輩?
これは私の過去?
それとも、夢?
「あ、そ、そうだ。うん勘違いしてた、そう、ここっ・・・。」
泣きだしそうな私を抱きしめて、
よね先輩は困った顔で笑う。
「よね先輩、」
あの時、私・・・、
確かにここに連れてきてもらった。
あの時も、この大きな腕に抱きしめられた。
「よねくん、」
そう呼ぶと、よね先輩は、
悲しそうに笑った。
「A、
君は、Aじゃないよね?」
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いろは(プロフ) - こはるさん» ありがとうございます!嬉しいです(><)また更新した時は見てやって下さい! (2020年11月30日 21時) (レス) id: aef4d38a58 (このIDを非表示/違反報告)
こはる - 気になる展開で更新されるのをいつも楽しみに読んでました。これからも応援してます! (2020年11月30日 19時) (レス) id: 4c38d7235d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いろは | 作成日時:2020年11月10日 20時