空っぽな鉢に愛を注ぐ

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開会式終わってから、緊張はさほどしていないように見えた。


イタリア時代、長かった髪の毛は、
現役に復帰すると同時に短くしてしまった。



正直、もったいない。とは思ったけど、




また、以前のように、コートに立つ貴女を見れて、
俺は、これでよかったんだって、




毎回噛み締めている。







「祐希、感動して泣くなよ？」


「いや、泣かねーから(笑)」


「愛しの奥さんっすもんね。」


「おい、イジるな。」


「可愛い奥さんの試合は全部近くで見ないと気がすまないもんな。」


「マサさんもやめてくんない？」


「・・・・でも、祐希には感謝してるから、」


「何急に、」


「A、笑ってるよ。」


「当たり前。あの人のためなら俺は何だってやるよ。」


「愛だな。」


「愛っすね。」


「やめろ///」









試合のホイッスルが鳴る。









いつもと同じルーティーン






ボールを3回床につき、

真っ直ぐと伸びた腕から空へと投げる。








しなやかで、美しく、




そして、何より、









『決まったっー！！！南雲なんと、一発目からサービスエースですっ！！！！』









強烈なそのサーブ。



笑いながら、仲間とハイタッチするあの人の姿を見て、









(あ、俺今、)









‟息するの、忘れてた‟









俺の方を向いて、ピースサインを送る彼女を見て、
俺はきっと、何回だって、




貴女に恋をする。









END.

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