檸檬

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1人で帰れるから、とミコトは、
私を置いてラボを出てしまった。





「何で、あんなことわざわざ・・・。」


「さぁな。」








系さん、優しすぎるんだよ。







「・・・・・今日、帰らないんですか。」








パーカーの袖を引っ張ってそう言うと、
彼は、少し考えて荷物を背負った。









「帰るか。」


「・・・・系さん。」


「お前に何か、あってもアレだしな。」


「・・・・・・なにそれ。」









それは、心配してるの、




どう捉えたらいいの、ねぇ、系さん。









後日、佐野さんの解剖の結果が出た。







「そっかー謎が謎を呼ぶってね。」


「そうなんだよねーすっごいややこしい話。」


「・・・ご遺族にとっても、納得のできる結果になればいいけどね。」


「うん・・・。」








ミコトとランチを終え、
ラボに帰る途中、丁度、蜂蜜ケーキのお店を通る。



相変わらず、繁盛しているそのお店のケーキは、









「人を１人死なせたケーキだなんて、誰も思わないだろうね。」









その店の角を曲がると、１人の少年がお店を見つめていた。








「ねぇ、あれって・・・。」


「ん？・・・・・・・・あ。」








電話中のミコトと、私の目の前で、







その男の子はお店のガラスに勢いよく石を投げつけた。









その姿が、


かつての自分と重なった気がした。

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