檸檬

・ ページ38

次の日、隣では昨日説明があった佐野さんのご遺体を三澄班が担当していた。


中堂班は坂本さんがいない分、
所長が入って解剖するが、何分慣れていないご様子。


流石の中堂さんも、所長には強く言えないようだ。




「神倉さん！あーもー、もっとしっかり持って！」


「血で滑るんですよー…あんまり見たくないし・・・。」


「あー…A、変われ。」


「え、いいですけど、所長こっちできます？」


「早くしろ。」


「ういー…。」




中堂さんのサポートをしながら、
臨床検査技師の仕事をこなす。


所長には、記録員のような役割をしてもらうべく、
カメラを持ってもらった。






梯子を前に、
「登るの？」と不安げな所長に、呆れたように中堂さんが言う。




「登らないとフレームに入らない。」


「高いよ！落ちたら危ないし！」


「あー・・・使えねぇ。」


「そんな言い方ないでしょ、坂本さんの代わりがいないから仕方なく手伝ってるのに！」


「・・・A、変われ。」


「あ、いい？」


「えぇ！？ちょ、私、聖徳太子でも千手観音でもないんですからね！！」


「うるせぇ、早くしろ！」


「いつか、ハゲろ。このクソタコ。」


「・・・何か言ったか？？」


「な・ん・で・も・あ・り・ま・せ・ん！」








いがみ合っている私たちをよそに、





「大変だね、ほんと。」


「A、尊敬する。」



と、ミコトと夕子さんから同情の声があがる。




「じゃぁ、ロクくださいよー。」


「それは、無理。」


「ロクー！！」


「・・・・あの、それ。」


「ん？何？」


「いつからありました？」








ふと、ロクの目に飛び込んできたものは、






‟お前のしたことは消えない 裁きを受けろ‟









「脅迫状・・・・？」


「金田一少年なら殺害予告！」


「てか、お前って・・・・誰？」

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す