檸檬

３.予定外の証人 ページ26

「うわー！何回やっても感動するー！」


「いや、ほんと今までガラケーだったのが、意味わかんないから。」





UDIの事務所では、
ミコトが、初スマホデビューして大騒ぎしている。



LINEのふるふるの機能で連絡先を交換するのが楽しいようだ。





(子どもか、ミコト！)





先日の件で、無事命が助かった私たちは、
今日もありがたくUDIでまったりと生活ができている。




所長も、





「３人とも無事でよかったよ〜。」






と安堵しているようだ。


そりゃそうだ。
法医解剖医にバイトくんに、
死んだってなったら大事件だっての。









話もひと段落し、所長がミコトにお願いを持ってきた。

とある事件の裁判の検察側の証人としての出廷だった。









「桜小路？だれそれ。」


「知らないのー？名の知れた主婦ブロガー。レシピ本もたくさん出してんのよ。」




と夕子さんが、ネットでブログを出して説明してくれる。






「このご遺体、半年前にうちで解剖したの、」


「あー…そう。」







「解剖した先生はうちをやめた後、引退して、今は鹿児島の老人ホームです。で、代わりの証人を出さなきゃならない。」


「でしたら、私より中堂さんの方がいいと思います。実は私、裁判に出たことがないんです。大学ではいつも教授が出ていて、中堂さんの方が慣れてるだろうし・・・。」


「代理証人なんて、死んでもやるか。俺は他人の鑑定を信用しない。」


「そもそもね、中堂さんはさせられないの。」


「態度が悪いからですか？」


「「ぷ(笑)」」


「オイ！」


「それもあるけど、中堂さん訴訟抱えててさ。」


「訴えられてるってことですか？」


「え、誰に？」




ロクが思わず聞き返し、
夕子さんも興味津々に傍による。







「坂本さん。」


「「「坂本さん！？」」」









「はははははは(笑)」


「笑うな。」


「A、知ってたの？」


「この間、所長が中堂さんに言いにきたときに傍にいたの、」


「坂本さん、ガッツあるね。」


「褒めるな。」









不服そうな顔で、
備品を磨く中堂さんは至っていつも通りだ。

まぁ、あんなにクソ、クソ、言ってたら、
誰だってやめたくなるわな。







結局、裁判はミコトが出ることになった。

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