檸檬

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「へこまさなきゃよかったかな・・・。」






水漏れしてくる扉にガムテープを貼るミコトに
ごめんね、というと、




ミコトは、こっちこそ、巻き込んでごめん。
と言う。







「もうダメなんじゃないんですか・・・、」






というロクに、ミコトが、
励ますような叱るような口調で、言った。








「人間は、意外としぶとい。」


「ロク、希望を捨てた瞬間終わりだよ。」


「・・・・市ノ瀬さん。」


「ん？」


「冷静ですね。」


「まぁ、アメリカって割と危険な国だからね。危ない目には何度かあってる。」


「それで護身術・・・。」


「そ。」









ずっと気になっていたのか、
ロクは、女の子、ミコトの書いた論文の話を持ち出す。





ミコトは、淡々とあの論文について語り始めた。









「やめよ、この話。」


「・・・すみません。」


「私、気になったんだけどさ。」






とミコトが話題を変え、
私と目線を合わせる。








「系さん、って・・・・。」


「あれ、無意識のうちにそう呼んでた？」


「俺も、思いました。」


「・・・・・はは。」


「付き合ってんの？中堂さんと。」


「それは、ない。」


「ごめん。」


「何が？」


「中堂さんにとって、Aって・・・、」


「疑いすぎーほんと、何でもないから、ほんと・・・」

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