. ページ32
深田 side
お寺は学校と正反対の位置にある。
お寺に着く頃には俺は汗だくで、息が切れていた。
疲れた自分の膝に手を置きながら前を見ると
俯きがちに歩くAちゃんの姿が。
隣には骨が入っているであろう箱を持つAちゃんのお母さんもいた。
『Aちゃん！！』
綾「竜生！？」
俺が来ているなんて想像もしてなかったようで、目を見開いて驚いていた。
綾「なんでいるの？学校は？」
『…俺も、見届けたくて。納骨。』
綾「そっか。竜生もお兄ちゃんと仲良かったもんね。」
それから無言でAちゃんの隣を歩き、納骨まで見届けた。
綾「親は少し挨拶してから家戻るみたいだけど、竜生はどうする？」
『ちゃんとAちゃんと話したくて。どっかで2人で話しませんか？』
綾「分かった。」
島唯一の公園で、ブランコに座って話すことにした。
『まずは、ごめんなさい。Aちゃんのこと無視するような真似して。』
綾「私こそ、せっかく練習試合呼んでくれたのにまともに見れなくて、話せなくてごめんね。」
『自分でもなんでか分かんないんですけど、Aちゃんの気持ちに俺の気持ちが比例するんです。
Aちゃんが悲しい時は悲しいし、Aちゃんが嬉しい時は俺も嬉しい。
でもそんな自分が嫌で。俺、本当はAちゃんが辛い時や悲しい時は俺が元気づけたいし、Aちゃんの事は俺が喜ばせたいんです。
だから、今日ここに来た。』
綾「どういうこと？」
『大丈夫ですか？無理してないですか？泣きたい時は泣いてください。Aちゃん、光成くんが亡くなってからまだ1回も泣いてないでしょ？』
勇気を出して放った俺の言葉によって、Aちゃんの涙腺が崩壊していくのが分かった。
さっきまでブランコの鎖を掴んでいた両腕で顔を覆うようにしてAちゃんは泣き崩れた。
俺も鎖から両腕を離し、その腕でAちゃんを力の限り抱きしめた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆに。(プロフ) - とあちさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けるととても励みになります！更新頑張ります！ (2021年10月2日 0時) (
レス) id: d4814ef93e (このIDを非表示/違反報告)
とあち(プロフ) - とっても素敵です！(泣) もっともっと読みたいです！更新頑張ってください♪ 応援してます！ (2021年10月1日 10時) (レス) id: eeea52000f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆに。 | 作成日時：2021年9月28日 14時
