検索窓
今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:25,681 hit

. ページ22

深田side


今度こそAちゃんに良い所を見せたくて、


ボランチであるのにも関わらず周りを見ずに突き進んだ。


案の定ボールを取られてしまい、顧問から怒号が飛ぶ。


こんな自分は見られたくないと思い、さっきAちゃんが居た方は向かなかった。


「深田、大丈夫か?ハーフタイム明けからなんか気持ち乱れてるぞ。」


『そんな事ないって。』


「お前まじ分かりやすいな。笑あの先輩と気持ち比例してんのかってレベルであの人に左右されてんぞ。」


あの時遠くにいたメンバーからもそんな風に思われてるって、どんだけ分かりやすいんだ、俺。


『試合ではそんなの関係ないって。』


自分に言い聞かせるように呟いてボールの方へ向かった。


それからは気持ちが荒れる事なく、普段通りに動けた。


むしろいつもより調子が良い。


ゴールの少し手前、敵チームからボールを奪いゴール前の味方にパスを渡せた。


渡されたメンバーはしっかりゴール。


みんなにも「ナイスアシスト!」と言ってもらえた。


今度は自信を持ってAちゃんの方を向いた。


はずなのに…


そこにAちゃんは居なかった。


焦って違う方向も見渡すと、さっきの場所より少し校舎側の日陰にAちゃんと


織山くんがいた。


さっきとはうってかわって笑顔のAちゃん。


大声で応援してくれているのに何故か嬉しくなかった。


「やっぱさっきの前言撤回。あの男の先輩が関わるとあの人の気持ちに深田の気持ちは反比例するんだな。」


『えっ?なんでだよ。あんなに手振って応援してくれて、俺今めっちゃ嬉しいよ?』


図星を突かれてしまい、咄嗟に嘘をついた。


「お前意外と乙女なんだな〜」


『はぁ?そんなんじゃねぇから!』


メンバーに少し強く当たったのも、俺が怒っているからで。


といっても多分俺が怒っているのは織山くんにじゃない。


さっきまでずっと元気なくて、けど俺は知らないふりして頑張って元気に話しかけて。


いつもみたいな返しが来なくても、見た目を褒めたのに喜んでもらえなくても。


俺はAちゃんに元気になってもらおうと頑張ったのに。


織山くんと一緒に居るだけであんなに笑顔で、元気になって。


…そうやって、頑張って嫌いになろうとしている自分に


怒っていた。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (71 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
292人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆに。(プロフ) - とあちさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるととても励みになります!更新頑張ります! (2021年10月2日 0時) (レス) id: d4814ef93e (このIDを非表示/違反報告)
とあち(プロフ) - とっても素敵です!(泣) もっともっと読みたいです!更新頑張ってください♪ 応援してます! (2021年10月1日 10時) (レス) id: eeea52000f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆに。 | 作成日時:2021年9月28日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。