【一撃男】オカルト少女と音速忍者。 (ページ5)

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３大胆不敵と混乱ページ5

「…試してみるか？」

「っ！？」

今まで目の前に居たはずのソニックは、いつの間にか私の後ろに回ったらしく耳元でそう囁かれる。
…速い。ダメだ、確実に勝ち目なんてない。
「音速」という呼び名はどうやら伊達じゃないみたい。

こんな時は逃げるが勝ち、そう思って足に力を込めたのに。

「くくく…」

ソニックは少し楽しそうに笑ったかと思うと、

「ふっ」

「～～～！？」

ローブのフードを素早く脱がせ、私の耳に息を吹きかけた。

とっさのことで頭が真っ白になりながらも、慌てて耳を押さえてソニックから飛び退く。
なんだこいつ、一体何がしたいんだ。

反応してしまった自分も恥ずかしいしソニックの綺麗な顔がさっきまで近かったってのも恥ずかしいし…！
相変わらず余裕の笑みを浮かべるソニックとは対照的に私の心臓はばくばくと音をたてていて、やたらとうるさく感じた。

仮にもＡ級ヒーローの私がこんなにも簡単にしてやられるなんて……
というか初対面の女子を相手にフードを脱がせて耳を吹くってどういうことだ。
大胆にも程があるんじゃないかこの忍者。

ぐるぐる思考を混乱させる私を、ソニックは面白そうに眺めている。

「ほう、フードの下はこんな顔をしていたのか。…どうした、顔が真っ赤だぞ」

意地の悪い目で口を歪めるこいつが憎らしい。
わざとらしく「どうした」って聞くなんて、完全に確信犯だ。

「う、うるさい！音速のソニック、絶対、絶対私が呪ってやるんだから…覚悟しなさいよ」

「そうか…楽しみにしておいてやる、A。…手始めに明日も此処へ来るからな」

そう言うと、にやにや笑ったソニックは見えない速さでどこかへ跳んでいった…

へたり。あとに残された私は力が抜けて、耳を押さえたまま冷たいアスファルトに座り込む。

「…変な人に目を付けられたかも」

屈辱感と羞恥心で、しばらくそこから動けなかった。
恨めしく向こうを見つめても、ソニックはすでに影も残さずに消えている。

「音速のソニック、絶対、呪う…」

明日も来るなら、それまでにとびきりの呪いを用意してやる。
呪術師として、絶対に苦しめてやるんだから。